トリコフィトン・トンズランス菌は他の白癬菌より皮膚に入り込む時間が短く、傷口からはより感染が成立しやすくなります。予防としては、体の接触が主たる感染の原因と考えられますので、スポーツなどの練習後や肌が接触するような行為をした際には速やかにシャワーや入浴をし、頭髪や体を石鹸で洗い流します。運動着などは毎日洗濯して、よく乾かし、タオルの共用は厳禁です。
白癬菌の除去には、清掃機器のスチームクリーナーの熱による除菌が有効です。従来の白癬菌も除去できますから、床の掃除などに用意しておくと良いです。
大切なことは、症状が出た時にはすぐに皮膚科専門医を受診すること。そして特に体の直接接触が多い場合には皮膚の状態をチェックする習慣を付けることですね。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2022年10月7・14日号