眼科かじわらアイ・ケア・クリニックの梶原一人院長

眼科かじわらアイ・ケア・クリニックの梶原一人院長

目の「モヤ」は危険信号

 パソコンやスマートフォンを多用する現代では、目の「乾き」や「かすみ」が症状として生じるドライアイがよく知られている。瞬きの回数が減り、涙の量が減ることなどが原因であることが多い。

 一方、視野がぼんやりとモヤがかかったように見える症状はさらに注意が必要だ。

「モヤがかかったように見える症状は、単なる目のかすみより重大な疾患の結果として生じているケースが多い」と梶原院長は指摘する。

「目のレンズである水晶体が濁って見えづらくなる【7】白内障や、末期の緑内障が疑われるほか、糖尿病が原因で起こる【8】糖尿病性網膜症の可能性があります。

 糖尿病になると、血液中の糖が増えて血管がもろく、破れやすくなります。特に、目の奥の網膜にある血管は高密度で張り巡らされており、詰まったり出血したりしやすくなります。糖尿病性網膜症は放置すると視力低下の原因となり、あっという間に進行して、最悪の場合、失明に至ることもあります。前述した網膜中心動脈閉塞症という失明率が高い病気の可能性もあるため、早めの受診をお勧めします」

 いつもと違う目ヤニが出てきたら、病気の可能性がある。

「目ヤニの正体は古くなった細胞や目の分泌物です。朝の目ヤニは代謝の結果ですから、少量であれば問題ありません。問題は、炎症による目ヤニで、その原因は【9】結膜炎です。ウイルス性の場合は白くネバネバした目ヤニが、細菌性の場合は黄色や黄緑色のドロッとした膿のような目ヤニが出ます。これらは重症化すると角膜(眼球前面中央の表面にある円形状の透明な膜)が濁り、視力障害を起こす危険性があります」

 加齢により「見え方」が変わることは、自然な老化現象の場合も多い。一方、些細な異変に、失明などにつながる重病が隠れていることがある。目に生じた異変を安易な自己判断で放置することには大きなリスクが伴う。眼科での定期的な検診を心がけてほしい。

※週刊ポスト2022年10月7・14日号

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