三遊亭円楽は自身の引き際をどう考えるか(時事通信フォト)

妻が闘病を支え続けた(時事通信フォト)

 8月11日、国立演芸場で行われた「8月中席」で高座復帰を果たすと、円楽さんは涙をぬぐいながら、「みっともなくてもいいから死ぬまでやります」と宣言。だが、この中席が人生最後の落語となった。

「この間、円楽さんの闘病を支え続けたのも奥さんでした。7月頃に自宅をバリアフリーに改修すると、近所では円楽さんが乗った車いすを押す奥さんの姿が頻繁に目撃されるようになったそうです。

 実は8月の高座の直前、円楽さんの体調は最悪で舞台に上がることが難しい状況でした。食事も喉を通らないほどでしたが、円楽さんは何度も病院で点滴を打って体力回復に努めた。その傍らには必ず奥さんがいて、言葉が出づらい円楽さんに代わってお医者さんに病状を説明していました。夫婦で懸命に高座復帰を目指していたんです」(落語関係者)

 前出の山崎さんは、円楽さんが亡くなる1週間ほど前、夫人と話したという。

「9月22日に奥さんがお墓参りに来ていたので、円楽さんの様子を尋ねたら『元気にしています』と言ったんです。でも、その後、円楽さんの携帯電話を鳴らしても彼は出なかった。いま思えば、その頃には、電話に出るのもつらい状況だったのかもしれません」

 最後の1週間、夫人は「円楽は元気」と周囲に言い続けていたようだ。

「円楽さんは、飲む打つ買うが好きな派手な人ですが、奥さんへの愛情は本物でした。その愛に応えるように奥さんもずっと彼を信じて支えてきた。落語家には妻をネタにする人もいますが、円楽さんの落語に奥さんはまったく出てきません。それでも結婚してから死ぬ間際まで、ふたりはずっと一緒にいたんです」(前出・落語関係者)

 山崎さんが住職を務める釈迦尊寺は群馬県前橋市にある。東京生まれの円楽さんは生前、この寺で得度(出家)し、

「妻と、妻の家族と同じ場所で眠りたい」

 その思いで墓も購入した。墓石には「楽」の一文字が彫られている。人生の最期のオチは「妻への愛情」。もう隠す必要はない。

※女性セブン2022年10月20日号

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