細山クンが本当にやりたかったこと
苦しい時期もあったようだ(写真/藤岡雅樹)
「両親が動物好きで、僕が子供の頃は家でイヌ、ネコ、ピグミーマーモセットという小ザル、小型アヒルのコールダック、馬などたくさんの動物を飼っていて、そのとき飼っていたイヌやネコも保護ネコ、保護イヌだったりしました。そういう生育環境の影響で、僕も動物が大好きになり、自然と“消えていく命”を助けたい、と思うようになっていたんです」
この9月から縁あって、あひるの遺棄防止などを啓蒙する「あひるネットワーク」というNPO法人の理事をボランティアで務めている。イヌやネコに限らず、捨てられた動物を救いたい気持ちが強いのだ。とはいえ、これまでやってきたこととは隔たりがあるような……。
「いじめを無くしたい、という思いとは一貫性があると思っています。今はネットいじめの件数が増え、しかも高校生の割合が高い。
僕が子供の頃と比べると、いじめの手口が多様化し陰湿化しているのかな、と思います。いじめを無くし、消えていく命を助けたい、という思いは今も強く、将来的に取り組みたい気持ちは消えていません。ただ、今は原点に戻って、保護ネコや保護イヌ、捨てあひるの問題に取り組みたい。いじめ問題にしろ、保護ネコ、保護イヌの問題にしろ、社会のためになることをしたい、と思っています」
細山さん、純粋なのだ。純粋な心と優秀な頭脳で、“人間と動物が共生できる持続可能な社会を作る”というビジョンを掲げ、消えていく命を救うことをビジネスにできないか、と考えているという。
保護ネコ・イヌへの関心も強い(写真/藤岡雅樹)
「具体的にはまだこれから詰めていこうと思っているのですが、ひとつの理想案として、保護イヌ・ネコと共生型の老人ホームをやりたい。今後、法律改正で殺処分の危機にあるイヌ、ネコが増える可能性があります。一方で、高齢者の増加とともに老人ホームももっと求められていくと思うので、その両立ができたら。動物にはアニマルセラピー効果があるので、動物と高齢者は相性がいいんですよ」
夢物語ではなく、少し具体的に動き始めている、という。
「実際に起業家になる目処がたちそうです。だから、今、ちょうど転機なんです。やっと心からやりたいことができるんだな、というワクワクが60%、不安が40%(笑い)。実際に起業できたとしても、スタートアップが成功する道は険しいので、不安も大きいですよ」
超優秀な細山さんなら、不可能も可能にできてしまいそうだ。細山クンは身体は痩せても、志の根は太いのだった──。
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)