1992年のドラフト会議で星稜高校・松井秀喜を引き当て、サムアップポーズをする巨人・長嶋茂雄監督(時事通信フォト)
「巨人の長嶋茂雄監督が松井秀喜の交渉権を引き当てた1992年、ドラフトは過去最高視聴率の20.0%をマークしました。しかし、逆指名制度に変わった1993年は事前に誰がどの球団に指名されるか視聴者も知っていたため10.8%と半減しました。同じ土曜日の昼に放送されましたから、制度が変わって魅力がなくなったことが明白でした。翌年にはテレビ中継自体がなくなりましたからね。その後、復活しましたが、逆指名時代は盛り上がりに欠けました」(同前)
今年、1位事前公表の9球団は本当にその選手を指名するのか。
「最近の世の中や野球界の時流を考えると、変えることはないでしょう。西武やダイエーの黄金時代の下地を作った根本さんのような寝業師もいないですし、ファンから猛烈なバッシングを浴びかねない。今は予告先発制度が両リーグで毎試合採用されているように、“正々堂々”と勝負する風潮がある。
とはいえ、良い悪いは別として、“寝業師”の存在がドラフトや球界を盛り上げてきたのも事実でしょう。相撲に例えれば、押し出し、寄り切りばかりじゃつまらない。けたぐりや猫騙しなどの特殊な戦法を取る力士もいるから、人気が上がる。野球界も真っ向勝負ばかりじゃ、戦力のあるチームが順当に勝つだけで面白くない。そういう意味では、1つくらいは何をしてくるかわからないチームがあると盛り上がると思いますが、そんなチームが出てくるかどうか」(前出・野球担当記者)
今年のドラフト会議、波乱はあるのか──。