スポーツ

日本オープンで95年ぶりアマ優勝、プロ転向宣言の蟬川泰果 父や恩師が明かすその素顔

蝉川泰果の素顔に迫る(時事通信フォト)

蟬川泰果の素顔に迫る(時事通信フォト)

 男子ゴルフ日本一を決める国内メジャー「日本オープン」で、第1回大会の赤星六郎以来95年ぶりとなるアマチュアでの優勝を果たしたのは、東北福祉大学4年の蟬川泰果(21)だった。10月31日にはプロ転向を発表した蟬川。あのタイガー・ウッズと同じ名を持つ新星は一体、どんな選手なのか。蟬川の父や恩師の証言からその素顔に迫る──。

「観客がワーってなるやん」

 21歳での日本一という快挙に、蟬川の父・佳明氏(61)も驚きを隠せない。

「甘くない世界だと思っていたので、ここまでやってくれるとは思っていなかった。僕の想像の何歩も先を行ってしまったという感じですね。

 泰果の名前がタイガー・ウッズにあやかったというのは、マスコミの後付けで、外国の人が呼びやすい名前にしただけです。ジョージとかも候補にありましたが、国語辞典で漢字を見ると“情事”ですやん。でもゴルフ界はタイガという名前が多いので、レオとかにしておけば良かったなといまとなっては少し後悔してます(笑)」

 大学生ながらプロが苦しむ難コースで好スコアを叩き出した蟬川の魅力は、そのアグレッシブなプレースタイルにある。

「最大の武器は平均飛距離300ヤードのドライバー。ロングホールで2オンを狙って、強気なパットでイーグルを奪う。まさに若き日のタイガー・ウッズを彷彿とさせます」(ゴルフ誌記者)

 日本オープンでは最終18番で奥に切られたピンを果敢に攻め、バンカーに捕まるヒヤリとするシーンもあった。そこには彼なりの美学があった。

「試合後に“なんでグリーンセンターに打たなかったんや”と聞いたら、“最終ホールでピン横にビタッとつけたら(観客が)ワーってなるやん。見ていても楽しいやろと思ったんや”と」(佳明氏)

 すでに9月の「パナソニックオープン」で優勝していたが、アマの試合の関係でプロ転向はしておらず高額賞金は逃した。しかし、国内メジャーを制したことで「今年の残り試合+5年シード」の権利を得たため、次戦以降はプロに転向して出場する見込みだ。

 一躍、国内男子ゴルフ界の新星となった蟬川の歩みはどのようなものか。

 2001年生まれの蟬川は兵庫県加東市出身。地元の兵庫教育大付属小・中学校から大阪の興国高へ進学。2019年に東北福祉大へ進み、現在はゴルフ部の主将だ。そんな蟬川のゴルフ歴は1歳の時に遡る。佳明氏が言う。

「息子がまだ立てない頃に、プラスチック製のゴルフクラブのセットを買い与えたんです。“これはこうやって使うものや”と教えてやったら気に入ったのか、ずっとボールを打っていました」

 ボールが当たるようになると、佳明氏は練習場へと連れ出すようになる。

「だから息子の練習場デビューは2歳です(笑)。ただグリップを右手と左手逆にして打つわけ。それでも前に飛ぶもんだから、周りの大人が“上手いな”と褒める。それで調子に乗ってまた打つという感じでした」(佳明氏)

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン