一方、弔慰に加えて安倍氏への国葬実施それ自体を評価したのが読売新聞、産経新聞とフジテレビだ。読売新聞グループ本社広報部は、
「安倍晋三・元首相に哀悼の意を示すため、会社を代表して読売新聞グループ本社代表取締役会長の老川祥一、同社代表取締役社長の山口寿一の2名が出席しました。当社の国葬に関する考え方は、社説で繰り返し述べています」
として同紙2022年7月16日付の「安倍氏国葬に 内外の悼む声を踏まえた判断」と題する社説をはじめ安倍氏国葬について肯定的に論じた8回の社説を列記した。
飯塚浩彦・会長と近藤哲司・社長が参列した産経新聞の回答はこうだ。
「産経新聞社では、憲政史上最長の8年8カ月にわたって首相を務めただけでなく、国際社会で日本の存在感を高めた安倍晋三元首相は国葬で送られるべきだと主張してきました。国家に貢献した功労者に弔意を示すためにも、当社の代表者が国葬に参列するのは、社としての礼節だと考えました」(広報部長)
フジテレビからは宮内正喜・会長、小林毅・専務取締役と元会長で現在フジサンケイグループ代表の日枝久氏の3人が参列し、「国葬儀が行われることには意義があると判断し、安倍元総理への弔意を示すため」(広報局)と説明した。
報道姿勢については「本件に限らず編集局外の幹部から現場記者に指示が行くことはありません」(読売)、「公平・中立で迅速、正確な報道を目指すということは常に確認しております」(時事通信社社長室)など、いずれの回答も国葬参列による報道の変化はないとした。
ちなみに朝日新聞と東京新聞はそれぞれ、経営幹部が参列しなかった理由について、「国民の間に、開催する根拠やその決定の経緯などについて様々な声があることを受け、総合的に判断した」(朝日新聞社広報部)、「総合的に判断した結果」(東京新聞を発行する中日新聞社東京新聞編集局)と回答した。
取材で判明したのは、主要メディアでも参列者の人数に違いがあったことだ。日本テレビとフジテレビのように会長、社長など3人が参列した社があれば、読売、日経、産経、テレビ朝日(関連会社社長を含む)は2人、他は1人という説明だ。