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追悼・村田兆治さん 亡くなる4日前の「いつもどおり30分ほどの電話」

離島の中学生球児のための「離島甲子園」で熱心に指導していた村田氏(2017年8月、撮影・藤岡雅樹。以下同)

離島の中学生球児のための「離島甲子園」で熱心に指導していた村田氏(2017年8月、撮影・藤岡雅樹。以下同)

“マサカリ投法”でプロ通算215勝をあげた村田兆治氏が11月11日、東京・世田谷の自宅火災で亡くなった。72歳だった。本誌・週刊ポストに野球の普及活動への思いを熱く語ってきた村田氏。多くの野球ファンにとって、喪失感はあまりに大きい。

 自宅で火災が起きたのは午前3時頃とされ、火元は2階の部屋。村田氏は病院に運ばれたが一酸化炭素中毒で亡くなった。

 その村田氏が羽田空港の保安検査場で女性検査員への暴行容疑で現行犯逮捕されたのは、9月23日のことだ。曲がったことが嫌いな性格で知られる村田氏の事件に、多くの人が驚いた。

 当日は北海道・芦別市民球場で開催される野球教室のために移動中だった。30年来の親交があるイベントディレクターの小松喜治氏はこう話す。

「本当は翌日の土曜(9月24日)に、教室に参加する全員で移動する予定だったんですが、ちょうど台風が接近中だった。村田さんは責任感の強い人だから、万が一、飛行機が飛ばないとマズいと考え、前日に単独で移動したんです。みんなと一緒なら大きなトラブルにはならなかったと思うのですが、気を遣って行動されたことで問題が起きてしまった」

 事件後、村田氏は沢村賞の選考委員を辞退し、年内のイベントはすべて参加をとりやめた。ただ、自暴自棄になっていたわけではないという。

「もちろん不起訴になればという前提でしたが、年内は謹慎し、年明けからは野球教室などのイベントを再開したいと前向きでした」(小松氏)

 事件後も4~5日おきに連絡を取っていたという小松氏が最後に村田氏と話したのは、火災の4日前の電話だった。

「変わった様子はなく、来年のイベントの話をするなどやはり前向きでした。ただ、電話では毎回、まずは検査場での様子を話していた。当日は空港が混んでいて駐車場に入るのに2時間近く待ち、感情的になっていたのは事実だそうです。検査場ではポケットに携帯が入っていたのでそれを渡して前に進もうとしたら検査員に行く手を塞がれ、反射的に出した右手が相手の肩に軽く触れたと話していました。検査員の上司に“どんな教育をしているんだ”と怒鳴ってしまったそうですが、それ以外に暴言などはなかったそうです」

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