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村田兆治さん伝説 肘の手術後、投げられない間は「山道を40km走っていました」

南海で主軸を張った門田博光氏が村田兆治さん伝説を振り返る(時事通信フォト)

南海で主軸を張った門田博光氏が村田兆治さん伝説を振り返る(時事通信フォト)

 11月11日、“マサカリ投法”でプロ通算215勝をあげた村田兆治氏が、東京・世田谷の自宅火災で亡くなった。72歳だった。本誌・週刊ポストに野球の普及活動への思いを熱く語ってきた村田氏。多くの野球ファンにとって、喪失感はあまりに大きい。

 村田氏は1970~1980年代にロッテのエースとして活躍し、多くの人に鮮烈な印象を残した。

 同時代にパのライバル球団・南海で主軸を張った門田博光氏は、村田氏の死を悼みながら当時をこう振り返った。

「僕は兆治の球が打てなかった。だから、ライバルとはいえないでしょう。フォークの威力もさることながら、あのマサカリ投法に、打者はどのタイミングで始動すればいいかわからない。もっといえば、兆治はバッターにフォークの握りが見えるようにして、次に投げると“宣言”するわけです。それでも打てない。これはバッターとしてはこたえましたね。フォークを完璧にとらえたのは、1回ぐらいしかなかったと思います」

 村田氏のキャリアのハイライトといえば、トミー・ジョン手術からの復活だろう。

 1982年に右ヒジを故障。「肘にメスを入れるのはタブー」とされた時代だったが、翌年に手術を受ける。2年間のブランクを経た1985年には開幕11連勝を含む17勝(5敗)を記録。日曜ごとに先発する“サンデー兆治”として見事に復活した。

 生前の村田氏は本誌の取材に、ヒジの故障で投げられなかった3年間で「何度も野球を諦めかけた」と明かしていた。

「戦列を離脱し、何十もの病院を回った。しかし、痛みの原因はわからなかった。病院だけでなく、整体、ハリ、電気など、ありとあらゆる方法を試みたが、回復の兆しさえ見られなかった」

 そう振り返った村田氏は、他の部位の腱を肘に移植するトミー・ジョン手術を考案したジョーブ博士と話し、手術を受けることを決意。手術が成功した後、つらいリハビリの日々を乗り越えられたのは「もう一度マウンドに立ちたいという気持ちだけだった」と振り返っていた。

「ただマウンドに立つだけでは意味がないから、勝たないといけない。“先発完投”するんだという気持ちしかなかった。投げられない間は、山道を40キロ走っていました」

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