2003年、展示のためトレーラーに積み込まれる北陸線の初代交流電気機関車ED70形1号機。同機関車は1957年から北陸線の交流電化を機に旅客、貨物輸送に使用、1975年廃車となった(時事通信フォト)

2003年、展示のためトレーラーに積み込まれる北陸線の初代交流電気機関車ED70形1号機。同機関車は1957年から北陸線の交流電化を機に旅客、貨物輸送に使用、1975年廃車となった(時事通信フォト)

鉄道150年の節目に何かできないか

 長浜駅は東海道本線の駅ではなくなったが、それでも関係者は鉄道の要衝地との認識を変えなかった。そうした経緯もあり、新しい駅舎が竣工した1903年以降も長浜の繁栄を支えた初代駅舎は取り壊されなかった。初代駅舎は後にミュージアム施設へと整備され、現在は長浜鉄道スクエアとなっている。

「長浜スクエアは初代の長浜駅舎、2000年に開館した長浜鉄道文化館、2003年に開館した北陸線電化記念館の3館で構成されています。初代の長浜駅舎は国内に現存する最古の鉄道駅舎ですから、長浜と鉄道の関係を知る上でも貴重な歴史的建物です」と説明するのは、長浜鉄道スクエアを所管する長浜観光協会の担当者だ。

 国内には鉄道系ミュージアムはたくさんある。そのうち、埼玉県さいたま市の鉄道博物館、愛知県名古屋市のリニア・鉄道館、京都府京都市の京都鉄道博物館、福岡県北九州市の九州鉄道記念館などは鉄道ファン以外からの認知度も高く、家族連れなどで土休日は盛況となる。

 そうした鉄道系ミュージアムと比較すると、長浜鉄道スクエアは全国的に脚光を浴びる施設とは言い難い。しかし、同館には鉄道の要衝地・長浜を存分に感じさせる展示物が溢れている。

「北陸線電化記念館に静態展示しているD51形蒸気機関車は、琵琶湖畔の豊公園(ほうこうえん)に展示されていたものをオープン時に移設しています。D51は、北陸本線のトンネルを基準に車体のサイズが設計された車両です。もうひとつのED70は、1957年に北陸本線の田村駅―敦賀駅間が交流電化される際に日本初の量産型交流用電気機関車として製造されました。2両ともに長浜や北陸線と関係が深い車両です」(同)

 D51は貨物輸送用に開発された機関車で、1100両以上が製造された。D51は機関車一形式の車両数では最大を誇り、鉄道ファン以外からはデゴイチがSLの代名詞のような位置付けにある。

 ED70は19両が製造されたものの、ほぼ運用は北陸本線に限定されていた。そうした背景から、全国的な知名度は高くない。それでも、北陸本線では貨物輸送で活躍した。北陸本線や長浜の鉄道史を語るにおいて、ED70は欠かせない機関車なのだ。

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