さらに素人動画サービス隆盛の裏には、今年6月に制定されたAV出演被害防止・救済法、いわゆる「AV新法」による、AV業界の締め付け強化があったという。現役のAV男優で自身もファンティアの『[MugAi]森林原人の実践的性教育チャンネル』で動画配信している森林原人氏が説明する。

「通常のAV作品の撮影は1か月前に契約を交わさなければならず、撮影本数が減り月収が下がった女優は多い。ファンサイトであれば自分で好きに撮って投稿できますから、副業的に動画配信する女優も出てきました。私自身は新法の適用内でやっていますが、素人は規制を外れた動画が多いです」

 規制が強まるばかりの業界を尻目に、「エロを売る一般人」は自由に大金を稼いでいるのだ。

野外撮影で逮捕例も

 アダルト系ファンサイトが隆盛を極める一方、配信にはリスクもある。今年7月、有名配信カップルが観光地で野外プレイの撮影を行なったとして、公然わいせつ容疑で逮捕された。逮捕については動画の視聴者から警察に通報があったとされ、界隈は騒然となった。大阪グラディアトル法律事務所の森山珍弘弁護士が解説する。

「野外撮影時の公然わいせつで逮捕されるリスクがあるのはもちろん、基本的に『わいせつ』と認定される動画を国内で撮影し投稿すると、罪に問われる可能性があります。現状、モザイクが入っていれば摘発の対象となる可能性は低いと言えるが、『わいせつ』の基準が幅のあるものなので、今後さらに規制が厳しくなることも考えられます」

 また視聴者も罪に問われるケースがあるという。

「アップロードされたアダルト動画を視聴するだけなら、視聴者が刑事罰に問われることは基本的にないと考えてよい。ただし、無修正動画や児童ポルノの可能性がある動画など、日本で違法とされる動画をダウンロードして自身の端末内に所持すると、刑事罰の対象になります。ファンサイト内は適切に管理されているとは言いがたく、違法動画が出回る可能性もあるため、自身の端末に保存することは絶対に避けましょう」(森山氏)

 また一方で、一攫千金を狙えるからこそ、配信を持ちかけられた女性が性的に搾取されるケースも考えられる。カップルの関係が破綻した時にアップした動画を削除したいと思っても、既にネット上で無限に拡散されているリスクはあるだろう。素人が切り開いたアダルトの新境地は、危ういバランスで成り立っている。

取材・文
河合桃子(かわい・ももこ)/ジャーナリスト。1977年東京都生まれ。AV業界について長年取材するほか、ハプニングバーや一般人によるアダルト動画配信など、性風俗に関する最先端事情を追う。

※週刊ポスト2022年12月2日号

関連記事

トピックス

およそ揉め事を起こしそうにない普通の人たちがカスハラの主役になっている(写真提供/イメージマート)
《”店員なんて赤の他人”的な行為が横行》条例施行から2か月、減らないカスハラの実態 都内のコンビニ店員が告白「現役世代のサラリーマンが…」品出し中に激突、年齢確認にブチ切れ、箸に”要らねえよ”
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットの幸せな日々》小室眞子さんは「コーヒー1杯470円」“インスタ映え”カフェでマカロンをたびたび購入 “小室圭さんの年収4000万円”でも堅実なライフスタイル
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
常盤貴子が明かす「芝居」と「暮らし」の幸福
【常盤貴子インタビュー】50代のテーマは「即興力」 心の声に正直に、お芝居でも日々の暮らしでも軽やかに生きる自分でありたい
週刊ポスト
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
麻薬の「運び屋」として利用されていたネコが保護された(時事通信フォト)
“麻薬を運ぶネコ” 刑務所の塀の上で保護 胴体にマリファナとコカインが巻きつけられ…囚人に“差し入れ”するところだった《中米・コスタリカ》
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン