テレビ朝日・寺川俊平アナウンサーの経歴(テレビ朝日公式サイトより)
【2】話を展開する質問
寺川アナは本田氏の解説を聞きながら、深掘りすべきか、次に話を展開すべきかを判断している。
【例1】コスタリカ戦の前半8分
寺川アナ:(コスタリカは)ボールをどうにか繋いでいるといった感じです。
本田氏:コスタリカはホント中途半端なんで。全然繋げないんで。ラッキーですね、これ。
寺川アナ:そうなってくると、より日本の勝利への期待度も高まるわけですが、得点を考えた時に相手が5バックになっている中、どんなことを考えればいいんでしょうか。
本田:中盤の1枚多いところをどう活かすかですね。(遠藤)航、守田さん、鎌田さんが中で作る数的優位で、その間に相馬(勇紀)さんとかがダイアゴナル(※斜めに動く)で受け取るみたいな感じなんでしょうけど、(コスタリカの守備に)ハマってるんですよね。(日本の選手が)全然フリーではない。個で打開しないと。もしくは中盤の数的優位を生かす。
コスタリカの現状を説明した本田氏に対し、寺川アナは「そうなってくると」と話を引き継いで「どうすれば得点を取れるか」と展開している。その間に「相手が5バックになっている」という説明を入れている点も見逃せない。
【例2】ドイツ戦の前半12分
本田氏:(ボールを)取った後に、前に行けないというのが一番嫌なんで。
寺川アナ:どうしてそういうことが起きてしまって、どうすれば改善できるんですか。
本田氏:後ろに人数余りすぎているんで、強気に前に出ていけない。(前線の)前田さんと鎌田さんがだんだん相手の最終ラインにプレス掛けれなくなってきたんです。(中盤の)伊東(純也)さん見てください。最終ラインに行って6バックになってるんですよ。タケ(久保建英)も最後まで引いている。ほぼ6バックですよ。(中略)もうちょっと高い位置で守備したい。
「どうして起きたか」と理由説明を求めつつ、「どうすれば改善できるか」と次に展開する運びを見せた。そのため、本田氏の具体的でわかりやすい解説が引き出された。
【3】事前準備の徹底?
実況としては当然かもしれないが、寺川アナは本田氏の質問に間髪入れずに答えている。スポーツ中継では解説者の問いにデータや知識を用意できていないアナウンサーも時折見受けられるが、明確に情報を提示している。
【例1】コスタリカ戦の前半12分
本田氏:(コスタリカの)12番、どこですか、ポジション。
寺川アナ:基本的には今までフォワードで出てきた選手なんですが、前の試合でも前半のうちに右のサイドにだいぶ開いていたりとか、かなりポジションを変えてくる攻撃の選手です。キャンベルという選手です。
【例2】コスタリカ戦の後半30分
本田氏:僕やったら、ここで交代します、5枚目の。
寺川アナ:代えるとしたらどうですか。攻撃の選手でいえば、まだ出ていない町野(修斗)、そして前の試合でスタメンだったFWの前田、あるいは久保、南野(拓実)といった選手がいます。そのほかに中盤で言えば柴崎、田中碧。
本田氏:鎌田さんを、拓実かタケと代えます。
寺川アナ:なるほど。久保か南野。
控え選手の名前を挙げるのは容易なことに思えるかもしれないが、何度も復習して頭に叩き込まないと淀みなくスラスラとは出てこない。