──そうすると、観客としても「池袋シネマ・ロサでは今回もイベントがあるかもしれない」と絶えず認識することになりますしね。
矢川:そうなんです。でも、僕らも本当に来るのか、誰が来るのか、何も知らないんですよ。終わる五分ぐらい前に控室を見て、「あっ、今日はAさんとBさんなんだ」とか、そういう感じだったんです。
──事前の打ち合わせなどは一切ないんですね。
矢川:全然ないです。ですから、本当に最初は申し訳ないことをしました。うちは舞台があるのですが、監督たちが舞台にあがらないで照明もつけないまま挨拶してる画像とかも残っているんです。やっぱり、これはさせちゃいけないと思いました。監督にもキャストにも「うちはいつでもいいから、別に気兼ねなく来なさい」と。キャストが一人でも「舞台挨拶をやります」と言ったら、「どの回でもやっていいから気にしないで来て」というスタンスでやっていました。
【プロフィール】
矢川亮(やがわ・りょう)/池袋シネマ・ロサ支配人。劇場住所は東京都豊島区西池袋1-37-12ロサ会館。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年12月16日号