『鎌倉殿の13人』での役柄も話題に(YouTubeより)

『鎌倉殿の13人』での三浦義村(平六)役も話題に(YouTubeより)

香取慎吾を口説き落とした独特の手段

 振り返るとだいぶ変貌を遂げたと感じる。優しさに溢れた少年役から成長して“暗躍”という言葉がふさわしい、バイプレイヤーに成長をした。行き過ぎることはなく、物足りなさを感じさせることのない、ちょうといい塩梅の悪役ぶりを山本さんは演じている。土下座まではしないけれど、人間味が感じられる好ポジションだ。

 そこで思い返すのが、彼の数々の困難を掻い潜って人間関係を構築するエピソード。有名なところでは、大河ドラマで共演した香取慎吾とどうしても飲みに行きたいと、断られ続けてもめげずに何度もアプローチしたという。やっと飲みに行った時点で、電話番号も無理やり奪う。共演者と繋がることを拒否する香取慎吾の心をこじ開けることに成功したのは、彼くらいでは。

 元女優の堀北真希さんとの結婚のきっかけもラブレターを数十通送り続けて、交際0日で見事にゴールインだったという。いずれにしても人間関係を構築する方法が独特だ。他の人がそのまま真似をしたら嫌われるかもしれないスレスレの手段で、相手の心を紐解いていく。だからこそ、一連の胡散臭い役、暗躍者、フィクサー、詐欺師といった特殊な役どころがよく似合う。振る舞いや所作で強烈なインパクトを狙っていな(そうに見せかけているだけかもしれないが)いところが、視聴者はそそられるのだと思う。ああ、来年も楽しみだ。

 余談だけど、山本さんがご結婚されるずっと以前に恵比寿の焼肉屋で偶然お見かけしたことがある。その時私は超絶美人の友人と焼肉を食べていたのだが、彼女と目が合うや否や、ちょっと口角のあがったあの“したり笑顔”で、笑いかけてきた。もちろんその後に何があったわけではなく、たった一瞬の微笑み返し。間近でその笑顔を見た人間としては、今思うと、香取さんも奥様も口説き落とされたのがよく理解できた。あれはヤバい。

【プロフィール】小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、企画、編集、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。著書に、最新刊の『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)ほか、30代の怒涛の婚活模様を綴った『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 -つながる機能が増えた世の中の人間関係について-』(WAVE出版)がある。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン