芸能

カミナリが語った『M-1』に“出る・出ない”の葛藤「僕らはもう発掘されたわけだから」

“出る・出ない”で揺れ動くコンビの葛藤も(イメージ)

“出る・出ない”で揺れ動くコンビの葛藤も(イメージ)

 史上最多となる7261組が参戦した『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)。たった一組の勝者の陰で、決勝ステージの常連やテレビの売れっ子も容赦ない評価を下される同大会は、芸人にとってリスクでもある。挑戦と欠場の間で揺れ動いたコンビの葛藤を、新刊『笑い神 M-1、その純情と狂気』を上梓したノンフィクションライター・中村計氏がレポートする。(文中敬称略)

 * * *
〈今日、締め切りです〉

 2022年、夏。M-1の出場受付の最終日、カミナリのツッコミ役・石田たくみは、相方の竹内まなぶに、そうとだけLINEを送った。

「出ようとは言わなかった。今日が締め切りだけど、と。あとは、おまえが決めてくれ、って」

 その日、まなぶは、ちょうど茨城県鉾田市の実家に帰省中だった。

「マネージャーに言ってたんですよ。絶対、たくみの前でM-1の話はするな、って。(話を)したら、あいつは出るって言うから。なのに言っちゃったんです。『そろそろM-1の時期ですけど……』って。そこから『どうする?』って始まって。なんだかんだ逃げてたんです。締め切りの日、実家でめちゃめちゃ酒飲んでて、すげえ楽しい気分になってて。そんなときにたくみからラインが来たもんだから、つい『出るよ』って返しちゃったんです。結局、酔っ払ってるときなんだよな」

 以前も似たようなことがあった。高級焼肉店でしたたかに酔い、気分が高揚しているタイミングでたくみに「M-1、どうする?」と聞かれ、思わず「出よう」と乗っかってしまったのだ。

 2011年にコンビを結成したカミナリがM-1決勝に初出場したのは、2016年のことだ。結果こそ7位だったが、たくみがまなぶの側頭部を思い切り叩いてからツッコむスタイルは強烈なインパクトを残し、翌年は、「2017ブレイクタレント」(ニホンモニター)で1位になるほどの活躍を見せた。

 その年の夏、またM-1の季節が巡ってくると、2人の間で初めて迷いが生じた。まなぶは出場に後ろ向きだった。

「M-1を新人発掘のための大会とするなら、僕らはもう発掘されたわけだから。もういいだろう、と。もともと勝負のための漫才が好きじゃない。楽しくやりたいので」

 一方、たくみの中では、まだ闘争心が燻っていた。

「意地ですかね。パチンコも出るまでやっちゃうタイプなので」

 それでも2017年は、まなぶも割とすんなり折れた。たくみが思い出す。

「簡単でしたね。子どもが習い事に行きたくないって言っているようなものだと思っていたので」

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン