芸能

年内で休養する氷川きよし、“時代劇スター”としての魅力を時代劇研究家が解説

年内で休養する氷川きよし

年内で休養する氷川きよし

 NHK紅白歌合戦への出場を最後に休養にはいる歌手の氷川きよし(45才)。「股旅演歌」などを歌い、舞台では時代劇の数々の名キャラクターを演じてきた。そんな“時代劇スター”としての一面をコラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 年内いっぱいで歌手活動を休養し、充電期間に入ると宣言している氷川きよし。休養前のラストステージとなる「紅白歌合戦」では、「氷川きよし~新たなるステージへ~」と題した特別企画として登場。その楽曲が『限界突破×サバイバー』と発表され、改めてこの曲への強い思いが感じられる。

「アーティスト氷川きよし」の演歌、歌謡曲などジャンルを超えた活動、多くの受賞歴などは広く知られるところだが、私としては「時代劇的にありがとう!」と言いたい気持ちでいっぱいだ。氷川きよしは、長く時代劇で愛されてきた人物やその世界を、21世紀に引き継いでくれていたのである。

 そもそも2000年のデビュー曲が、股旅演歌『箱根八里の半次郎』。すい星のごとく現れた演歌界のプリンス、歌謡界の新星と大いに騒がれたが、おそらく多くの人がここで久しぶりに、または生まれて初めて「股旅」という言葉を聞いたと思う。

 時代劇の世界では、気骨のある渡世人が旅をしながら、人助けをしたり戦ったりする「股旅もの」は、戦前から70年代までコンスタントに製作されてきた。『沓掛時次郎』の時次郎、『一本刀土俵入り』の駒形茂兵衛など、名キャラクターを勝新太郎など多くの名優が演じてきたのだった。氷川は歌の世界でデビュー曲と第二弾の『大井追っかけ音次郎』とともに久々に、股旅ものの空気を感じさせてくれたのだった。

 その後、氷川は2003年、中日劇場・新宿コマ劇場。新歌舞伎座の『第一部 草笛の音次郎 第二部 氷川きよしコンサート』で初座長公演を行う。芝居の原作は直木賞作家・山本一力。元呉服屋の手代だった音次郎が旅人となり、さまざまな経験をする物語だ。

 2005年の公演では、名親分、清水次郎長の子分で少々おっちよこちょいの森の石松を愛嬌たっぷりに演じた。このときの演出は、昭和期に多くの美空ひばり映画・舞台を担当した沢島忠。氷川は明るく楽しくスターが輝く時代劇の基礎を、名匠から学んだ最後のスターともいえる。

関連記事

トピックス

亡くなったシャニさん
《7か月を経て…》ハマスに半裸で連行された22歳女性が無言の帰宅、公表された最期の姿「遺体の状態は良好」「肌もタトゥーもきれいに見える」
NEWSポストセブン
フジコ・ヘミングさん(撮影:中嶌英雄)
《フジコ・ヘミングさん追悼》「黒柳徹子さんがくれたお土産」「三輪明宏さんが家に来る時は慌てて…」密着した写真家が明かす“意外な交友関係”
NEWSポストセブン
別居を認めたMEGUMI
《離婚後の大活躍》MEGUMI、「ちゃんとした女優になる」を実現!「禁断愛に溺れる不倫妻」から「恐妻」まで多彩な“妻”を演じるカメレオンぶり
NEWSポストセブン
日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン