ライフ

【薬剤師本音座談会】睡眠改善薬のリスク「私ならのまないと思いながら販売している」

薬との付き合い方をどうするか(イメージ)

薬との付き合い方をどうするか(イメージ)

 薬剤師といえば、誰よりも薬のことを熟知する専門家。しかし、直接患者を診察する医師とは違い、彼らが薬について多くを語ることはほとんどない。薬剤師たちは日々、薬局の窓口に立って薬を処方しながら、どんなことを考えているのか。現役で薬の調剤や販売を行う薬剤師3人が、多くの人がお世話になっている薬について本音を明かす。

【座談会に参加した現役薬剤師3人】
A子さん:大手薬局チェーンに勤める30代の薬剤師。
B夫さん:調剤薬局に勤める40代の薬剤師。
C美さん:個人薬局を経営する50代の薬剤師。

 * * *
A子:最近、新型コロナの影響なのかやたらと睡眠改善薬が売れているけれど、正直これも“私なら絶対にのまない”と思いながら販売している。

B夫:ぼくの周囲でも「あれを買うくらいなら、病院に行って睡眠薬を処方してもらった方がいい」という薬剤師がほとんどですね。

A子:市販の睡眠改善薬と病院で処方される睡眠薬は別物ですからね。睡眠改善薬に含まれているのは、鼻炎薬と同じ成分の抗ヒスタミン薬。認知機能が下がる副作用もあるし、眠れないからといって長くのみ続けるのは本当にやめた方がいい。

C美:だけど、処方薬なら安全というわけでもない。私は不眠症になっても、絶対に薬をのまないと決めています。処方される睡眠薬は「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」の2種類に分けられるけれど、どちらもおすすめできない。ベンゾジアゼピン系は筋弛緩作用によるふらつきやせん妄の副作用がある。転倒リスクが高いから、特に高齢者は危険。親にも絶対にのませたくない。

 非ベンゾジアゼピン系は副作用も少なく依存性も低いから安全だと言う人もいるけれど、「健忘」の副作用が出ることがあります。

A子:私も、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は断固拒否したい。知人で、服用した後、夜中に車を運転してコンビニに行ってお弁当を買って食べたのに、その記憶がすべて抜け落ちていたという人もいる。

B夫:「健忘」と簡単にいいますが、恐ろしい副作用ですね……。処方薬でいえば幸いにもまだのむ必要はないけれど、降圧剤も避けたい薬の1つ。最近の降圧剤は複数の成分が配合されているものがあるので、かぜ薬と同じく不要なものをのむことになる。医師は「1錠で済むから楽ですよ」と説明するけれど、ぼくからしたら個々の病状に合わせたコントロールがしにくいうえに薬が効きすぎる可能性もあるし、副作用が出たときにどの成分の影響なのか特定しにくい。

A子:誰にとっての“楽”なのか……。生活習慣病の薬だと、私はコレステロール値を下げる薬はなるべくのまずに済ませたい。基本的に、遺伝が原因でなければ生活習慣の改善で数値を下げることは充分に可能です。

C美:とはいえ、薬をのんだ方がいい人もいますよね。うちの夫なんてコレステロール値が高いのに、“明日から、明日から”って先延ばしにして、運動も食事制限もしない。やっぱり生活習慣の改善が難しい人は、服薬で数値を下げるべきだと思う。

B夫:のまないなら、のまないなりに努力が必要ということですね。

※女性セブン2023年1月19・26日号

薬剤師が自分では飲まない薬

薬剤師が自分では飲まない薬

薬剤師が飲んでいる薬

薬剤師が飲んでいる薬

いい薬剤師、悪い薬剤師の見分け方

いい薬剤師、悪い薬剤師の見分け方

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン