スポーツ

単勝1倍台の「圧倒的人気馬」 田中博康厩舎の成績はリーディング上位常連厩舎を凌ぐ

田中博康調教師

飛躍が見込まれる田中博康調教師

「本命」を力通りに勝たせることは案外難しいものだ。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 馬券を買っていてどうしても気になるのは単勝1倍台の「圧倒的人気馬」。エージェント全盛時代では、確実に勝ちに行く時は、やはりリーディング上位ジョッキーに依頼したいものだ。勝てるチャンスをさらに確実にするための最後の「詰め」だ。

 一方、出走させた馬が単勝1倍台の「圧倒的人気馬」だった厩舎にはどういう意味があるか。出走させた馬が人気を集めるということは、結果は置いといても、それだけしっかり積み上げた実績と出走に至る万全な調整、さらにもしかしたら(強い相手が出て来ないとか、紛れの少ない小頭数であるというような)情報力を評価されたとは言えないだろうか。これすなわち「厩舎力」と言っていいのではないか。勝てなかったのは時の運、とりあえず圧倒的人気に推されたというだけで評価されていいはずだ。

 そこで、2022年のリーディング上位厩舎について、単勝オッズ1倍を切る「圧倒的人気馬」がどういう頻度で出ているか、さらにその結果はどうなっているかについて調べてみた。

 出走馬が単勝1倍台になった回数が最も多いのは、リーディング11位で40勝の友道康夫厩舎。ダービーを始めGⅠ3勝を含む重賞5勝という堂々たる成績だけあってダントツの31回。しかし勝ったのはそのうち12回で勝率は4割を切り、4着以下に沈んでいるのが10回。もちろん「友道厩舎だから」人気が先行したケースもあるだろう。それにしても単勝1倍台の馬が3回に1回は馬券圏外というのはどうなのか。 

 次いで出走馬が人気を集めているのは開業9年にして通算300勝を達成、そのうち川田騎手とのコンビだけで120勝というリーディング3位中内田充正厩舎の23回。勝ち切った数こそ9回だが、2着7回3着3回で、馬券圏外になったのはわずかに4回だ。すでにGⅠ5勝を含む重賞30勝でリーディング上位の常連となっており、もはや名門厩舎といっていい。

 その他池江泰寿厩舎、須貝尚介厩舎、藤原英昭厩舎、池添学厩舎、国枝栄厩舎などリーディング上位の常連厩舎は、断然人気馬を10数回出走させている。ちなみにリーディングトップの矢作芳人厩舎は出走馬が「圧倒的人気」になることは9回(4勝)と意外に少なかった。

 しかし、「圧倒的人気馬」という括りで、それらリーディング上位常連厩舎を凌ぐ好成績をおさめているのは、通算100勝を達成したばかりの田中博康厩舎だ。昨年は35勝でリーディング17位と躍進したもののまだ重賞は一つも勝ってない開業4年目の若い厩舎だ。

 出走馬が単勝1倍台に推されたのが19回というのは友道、中内田厩舎に次いで3番目に多く、うち14勝というのは断然トップ、しかも2着4回で連を外したのは1回しかない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)
《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン