各人の健康状況や目標に合わせてトレーニング・メニューを構成する作業も、美木自身で行なう。自分の体で試した上で取捨選択した多様な動きは、すべて頭に入っている。俳優として演技をする際、セリフを忘れたことが一度もなかったほどの記憶力を活かし、絵コンテ形式で紙へ書き出してカルテ化していく。そんなメニュー構成で美木が一番に心掛けてきたのは、「とにかく怪我をさせないこと」に尽きるという。

「たとえば懸垂マシンを使うとき、Aのように呼吸を意識しながら体を上げ下げします。本当はBのように腰をひねる動きを加えると、筋肉へさらに負荷はかかるのですが、怪我をする可能性が高いと判断したためメニューには入れません」

「たとえば懸垂マシンを使うとき、Aのように呼吸を意識しながら体を上げ下げします。本当はBのように腰をひねる動きを加えると、筋肉へさらに負荷はかかるのですが、怪我をする可能性が高いと判断したためメニューには入れません」

 そもそも美木がロングブレスを編み出したきっかけは、長年患っていた自らの腰痛の克服体験である。にもかかわらず、腰痛対策の副産物であったダイエット効果ばかり話題となったのは、初のロングブレス紹介本を出版した2011年、話題性を考慮した担当編集者の「ダイエット・メソッドとして打ち出しましょう」との意向に沿った……という大人の事情ゆえだ。

 以来、単純に脂肪と体重を減らすだけのダイエット法が多々登場しては消えていくなか、体重はさほど減らずともインナーマッスルを鍛えて体型を整えるロングブレスは生き残り、認知度が自然と高まってきた。今の美木は、俳優でも歌手でもなく「ボディデザイナー」とだけ記載した名刺を持つ。

「うちのスタジオに通う某芸能プロダクションの会長さんが、『今度からこう名乗りなさい』とおっしゃってくれたので」

12年間一貫してロングブレスにこだわりトレーニング・メニューを積み上げてきた美木に、ボディデザイナーとの肩書がよく馴染んでいた。

自前のスタジオにて、ロングブレスの定番ポーズをとる

自前のスタジオにて、ロングブレスの定番ポーズをとる

【プロフィール】
美木良介(みき・りょうすけ)/1980年から俳優活動を開始、1981年には歌手デビューも果たす。数々のテレビドラマや映画などで活躍しつつも30代で腰痛を患い、22年苦しんだが自ら発案したロングブレスで克服。以降はロングブレスの指導に尽力する。

【クレジット】
取材・文/山本真紀 撮影/古川 章

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