入浴にしかない3つの健康効果
日本人は「夜型」と「朝型」が3割ずつ
朝型人間、夜型人間という言葉を聞いたことはありませんか。朝から元気に過ごせる人を「朝型」、朝は苦手な代わりに夜遅くまで活動できる人を「夜型」といいます。朝型か夜型かを決めるのは体内時計にかかわる遺伝子と、それまでの生活習慣です。
日本人は「朝型」が3割、「夜型」が同じく3割、はっきり分類できない人が4割いると考えられています。「朝型」「夜型」には数百個の遺伝子が複雑に影響しているため、簡単な検査で正確に判断するのは困難です。
朝型と夜型の違いは、生活時間がずれていることだけではありません。夜型は朝型とくらべて疲れが取れにくく、肥満や糖尿病の発症率が高いのです。詳しい原因はよくわかっていませんが、夜型の人は眠る前に体温が大きく下がらないため、眠りが浅い傾向があります。遺伝子は変えられない分、夜型の人は意識して体内時計を整える必要があるといえます。
照明がなかった時代には、人々は日の出とともに起きて活動を開始しました。夕方になれば薄暗くなり、夜は真っ暗で、誰もが眠りにつきました。日本人が夜間も活動するようになったのは、ほんの数百年前のことです。遺伝子は数百年では変わらないため、質のよい睡眠を得るためには、朝は明るい光をしっかり浴びて、夜は周囲をあまり明るくしない方がよいのです。
実は、日本の屋内照明は世界でも明るいとされています。欧米に行くと、ホテルの部屋が薄暗くて驚くことがありますが、これは電気代を節約しているからではなく、欧米人は瞳の色が薄いために、明るい光が苦手だからです。夏になると、欧米人がきそってサングラスをかけるのはそのためです。
近年登場したパソコン用の眼鏡も欧米人のための製品です。パソコンの液晶ディスプレーからブルーライトという青い光が大量に出ていて、それが白内障や視力障害の原因になるという説が登場したのを受け、ブルーライトをカットするパソコン用の眼鏡が生まれました。けれども、日本人の黒い瞳にはメラニン色素という茶色い色素がたくさん含まれています。メラニン色素には強い光や有害な紫外線を吸収して目を守る働きがあるため、日本人はブルーライトをそれほど心配しなくてよいのです。
ただし、いくら日本人が光に強いといっても、体内時計の自然なリズムに合わせて、スムーズに眠りに落ちたいなら、夜遅くまで照明をこうこうとつけるのは問題です。照明だけでなく、大型の液晶テレビやスマホも強い光を出します。夜は画面を暗くするなど工夫してください。