永田容疑者は複数の事件に関与していたとみられる(時事通信フォト)
「千葉県警から警視庁に、“大塩さんの家が強盗に狙われている”という情報提供があり、警察官が急行しました。ほぼ同じタイミングで家族が帰宅し、地下のフロアで大塩さんを発見した。家全体が物色され、少なくとも4人の足跡が残されていました」(全国紙社会部記者)
千葉県警が得た情報は、1月12日に千葉県大網白里市のリサイクルショップで起きた強盗傷害事件の容疑者として逮捕された、自衛官の中桐海知容疑者(23才)のスマホを解析して判明したものだった。大塩さんの自宅の住所や「強盗に入る」「ピンポイントで狙う」といった趣旨のやりとり、日時情報が残されていた。
中桐容疑者は、三重県出身。地元の公立小学校から高校まで通った。高校時代には柔道部に所属し、部の代表として大会に出場していた。その後、中桐容疑者は自衛隊に入隊。三重県津市にある久居駐屯地に所属していたが、昨年11月に行方をくらませた。それから2か月、遠く千葉で強盗事件を起こした。
前述のリサイクルショップの事件以外にも、昨年11月以降、関東を中心に複数名の実行犯で行われる強盗、窃盗事件が相次いでいる。浮かび上がるのは、広範囲での強盗や窃盗を手引きする「犯罪グループ」の存在だ。
一連の強盗事件には、大きく3つのグループがかかわっていると考えられる。1つは、強盗の計画立案や指示役に立つ「犯罪グループ」。1つは、SNSなどで集められ実際に犯行を行う「実行グループ」。そして、犯罪グループが標的を定める際に使う高齢者や資産家のリストを作成している「情報グループ」だ。
昨年12月5日、東京・中野区の住宅で49才の男性が現金およそ3000万円を奪われる強盗事件が起きた。この事件では、7人組の実行犯のうち4人が逮捕。和野正弘被告(34才)は「強盗をするために集まった。元から面識があるわけではない」と供述し、永田陸人容疑者(21才)のスマホには、狛江市での強盗事件に関するSNSのやりとりが残されていた。「欠員が出たら連絡する」というメッセージもあったという。
石川県金沢市のアパートで生活していた永田容疑者。周辺住民によると、ギャンブルで数十万円の負けを繰り返していたにもかかわらず、最近になって高級時計を数本見せびらかすようにして、「どこかで換金できないか」と漏らしていたという。
永田容疑者は、狛江の事件が発生した翌日に、東京・足立区内で逮捕された。不審なレンタカーがあるという通報を受けた警察官による職務質問を経ての逮捕だったが、このレンタカーは、狛江の事件現場付近の防犯カメラに捉えられており、永田容疑者は狛江の強盗殺人事件に関与していると考えられる。さらに、永田容疑者のスマホには、足立区内の地名に関するやりとりも残されていた。同じ足立区内で逮捕されたことと偶然ではないだろう。「犯罪グループ」からの指示で、強盗を繰り返していたことがうかがい知れるのだ。
中野区の事件の実行グループのメンバーは昨年10〜12月にかけて東京・稲城市のほか山口県と広島県で起きた3件の強盗事件に関与している疑いがあり、関東のみならず全国に犯行が広がっている実態もありそうだ。昨年11月以降に起きた強盗事件を13件を含め、警察当局は全国で関連する事件は少なくとも25件はあるとにらんでいる。
※女性セブン2023年2月9日号
頻発する凶悪強盗事件