スポーツ

史上最速の新十両・落合 師匠の元白鵬が断髪式後に見据える「強い弟子を育てて一門の理事に」シナリオ

親方に髷があり、弟子にはない異色の十両昇進会見に

親方に髷があり、弟子にはない異色の十両昇進会見に(時事通信フォト)

 親方の頭の上にはまだ髷(まげ)があり、弟子は髪がまだ伸びておらず髷がない──。そんな異色の新十両昇進会見となったのは、1月25日に3月場所での十両昇進が決まった落合と師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)だ。

 19歳の落合は幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ1月場所で7戦全勝の幕下優勝。現行の制度下で所要1場所での十両昇進は史上初の快挙だ。その落合を大相撲の世界へと導いた宮城野親方は、コロナ禍で延び延びになっていた断髪式を1月28日に控える状況だった。

 相撲担当記者は落合の“快挙”についてこう説明する。

「タイトルと関連した幕下付け出し制度は2000年9月に制定されたもので、全日本相撲選手権、全日本実業団相撲選手権、全日本学生相撲選手権、国体のいずれかでチャンピオンになれば15枚目格、2冠となれば10枚目格の付け出しでデビューできる。

 過去3人が10枚目格、20人が15枚目格で初土俵を踏んだが、デビュー場所で全勝優勝をしたのは2人目。1場所での十両昇進は初めてのことです。幕下10枚目格付け出しデビューだった遠藤と御嶽海、15枚目格の逸ノ城も十両昇進に2場所を要しています」

 貴景勝、琴ノ若、翔猿、大栄翔、王鵬、琴勝峰など、現在の幕内上位には相撲強豪校である埼玉栄高校出身の力士が居並ぶが、落合は同校のライバルにあたる鳥取城北高出身だ。相撲ジャーナリストが言う。

「高校では2年と3年の時に2年連続で高校横綱となった。3年時は全日本相撲選手権でベスト8となり、三段目付け出しの権利を現役高校生として初めて獲得。“令和の怪物”としてプロ入りが期待されていた。しかし、右肩を壊して手術したことで、デビューが先延ばしになった。その間に父親の経営する会社の所属で全日本実業団に出場し、個人優勝。19歳で幕下15枚目格の権利を手にしたのです」

 入門先は早い段階で宮城野部屋と決まっていたのだという。

「宮城野部屋と鳥取城北とは太いパイプがある。同校の相撲部総監督・現校長の息子(石浦)が宮城野部屋に在籍しています。落合も小中学生の相撲大会である『白鵬杯』に小4で出場して団体優勝し、中3の時は中学の部で優勝している。白鵬杯はちびっこ相撲の有望株を囲い込むための大会でもある。出場者の連絡先リストなどを活用して、有望なちびっこを鳥取城北高に送り込み、大学に進学させるなどしてから宮城野部屋に入門させるルートが確保されてきた。落合もその流れに沿った格好です。

 ただ、落合は鳥取県倉吉市出身で元横綱・琴櫻と同じ地元という縁がある。小学校も同じで、大会前には琴櫻の銅像を拝みに行っていたという。それだけに琴櫻の娘婿である元関脇・琴ノ若が親方を務める佐渡ヶ嶽部屋に入ると見る向きもあったが、白鵬の囲い込みが勝った。白鵬は小兵力士を好んで育ててきたが、落合は179センチ、156キロの大型力士。突き押しだけでなく、左四つからの投げや寄りもできる。デビュー場所でもすくい投げ、内掛け、押し出し、寄り切りと多彩な技を見せた。どれもレベルが高く、十両を一気に駆け上がる可能性がある」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン