優れているテスラのスーパーチャージャー
EVメーカー最大手テスラは独自の急速充電ネットワーク、スーパーチャージャーを全国に50か所以上設置している
そして急速充電に関してもう一つ理解しておかなければいけないのが、日本の公共の急速充電ネットワークの残念な現状だ。
「海外の急速充電器は350kWがスタンダードですが、日本で設置されている急速充電器のほとんどは40k W以下の低スペックです。しかもなぜか一回30分の充電時間制限が設けられているので、30分で回復できる航続距離はせいぜい100キロ〜120キロがいいところです。先ほど自宅での充電設備を整えることが前提とお伝えしましたが、それは自宅近辺での日常使いの場合です。急速充電を2回以上行う必要が出てくる500km以上の長距離走行をする場合、EVを不便なく運用することができるのかといえば、公共の急速充電ネットワークを使用する以上、かなりストレスフルな運用を強いられる可能性が高い、ということは頭に入れておいた方がいいでしょう」
しかし、この脆弱な公共の急速充電ネットワークを頼らずに充電できるのであれば、話は違ってくる。現在、メーカーによってはメーカー独自の急速充電ネットワークを構築しているケースがあるが、その筆頭がE Vメーカー最大手、テスラ独自の急速充電ネットワーク、スーパーチャージャーだ。
「テスラは2022年末時点で日本全国に50か所以上に独自の急速充電器、スーパーチャージャーを整備しています。北は北海道の札幌から南は九州の熊本まで、全国の主要高速道路のインター近くに設置されています。50か所という数字は一見少ないように感じますが、テスラ車の航続距離は最も短いモデルでも400km程度はありますので、スーパーチャージャーの間が100〜200km程度離れていたとしても、 特に問題なく運用することができてしまうのです」
最大250kWの充電性能を持つスーパーチャージャーは、充電に制限時間もなく、30〜40分もあればフルに充電ができてしまう。これなら長距離ドライブの運用にもストレスを感じることはほとんどないだろう。ただ残念ながらスーパーチャージャーを使用できるのは今のところテスラ車のみだ。
「どんなに優れたEVでも、現在の利便性の低い公共の急速充電器を使う以上は、その車のポテンシャルを十分に発揮することができません。EVの性能とは車単体の性能ではなく、充電能力、充電インフラも含めたトータルな性能です。急速充電インフラもEV性能のひとつの要素として捉えなければなりません。EVにとっては、それほど重要な要素なのです」
