江川悦子氏自身のダミーとの一枚(撮影/藤岡雅樹)
――近年は大河をはじめ時代劇は地毛を使った髷も多いので、俳優自身の地毛の質感がどうしても出てしまいますからね。
江川:「七分かつら」ですね。高画質になって、かつらの網が目立ってしまうので生え際だけは役者さんの地毛のまま使います。それだと網の心配がないので、かつら屋さん自身がそちらに流れているケースが多いですよね。そういう場合だと、ご自前の前髪に白を入れて、ちょっと白髪っぽくするとか。
――そうなると、やはり地毛の毛量に対してどう表現するかが重要になりますね。
江川:生え際のラインって、年齢によって上がってくるじゃないですか。それを表現してもいいという役者さんであればそうしますし、そこまでしなくていいとなれば、しません、ということの違いですね。
【プロフィール】
江川悦子(えがわ・えつこ)/1954年生まれ、徳島県出身。出版社でファッション誌の編集をした後、夫の海外赴任に伴い退社。1980年、特殊メイクの学校Joe Blasco make-up Centerへ入学。『メタルストーム』『砂の惑星・デューン』『ゴーストバスターズ』などの映画にスタッフとして参加。帰国後、特殊メイク制作会社メイクアップディメンションズ設立。映画、ドラマ、CMの特殊メイクを多数担当。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家
※週刊ポスト2023年2月10・17日号