芸能

NHK大河『青天を衝け』の特殊メイク 「しっかり老けさせる」という方針で作り込んだ

吉沢(手前)と大島の皮膚感を作りこんだ(写真提供/NHK)

吉沢亮(手前)と大島の皮膚感を作りこんだ(写真提供/NHK)

 特殊メイクの第一人者・江川悦子氏は、近年ではNHK大河ドラマのメイクも担当。二〇二一年の『青天を衝け』では、終盤で主演の吉沢亮をはじめ、主要キャストたちに思い切った「老けメイク」をほどこしている。そこにはどのような工夫があったのか、江川氏に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が創作秘話を聞いた。

 * * *
江川:これはもう、チーフプロデューサーとチーフディレクターの考え方次第だと思います。表現を控え目にするかしないかという問題が出てくるんですよ。本来なら「八十、九十歳までいったら、もっとシワシワにしていいんじゃない?」という気持ちが私としてはあるんですけど、それを制作者が望んでいない場合もありますから。そういう時は、九十だったら七十歳くらいで作るとか、ちょっとずつ控え目に作る傾向はあります。

 ただ、『青天を衝け』のラストでは吉沢亮さん、草なぎ剛さん、大島優子さんをしっかり老けさせました。それは、そういうふうにやろうという方向性を出していただいたから。こちらとしては「やってくれ」と言われたら、喜んでやりますという感じでした。

――近年の大河であそこまでやることは珍しいですからね。以前に比べ、老けメイクが遠慮がちになっている印象があります。

江川:あまり老けさせないときは、目まわりだけちょっと皺っぽくしてもらったら、あとは少しシミをつけて、とか。残念ではあるのですが、そういう手加減をしなくちゃいけないことが多々あります。

――『青天』のように思い切って老けさせるときは特にどういう部分を意識しますか?

江川:全体ですね。目の下のたるみから、頬のたるみとか、全て表現します。喉も筋が出てきてペリカンみたいになるとか、そんな表現をしっかりとしました。顔だけでなく手にもしっかりメイクしています。血管が太くなってきたりとか、細かいシミが出てくるなど。

――頭髪はどうされましたか?

江川:自前の毛をただ白くするケースと、毛量の少ないかつらを用意して、地肌をいったん坊主キャップで坊主頭みたいにした上に毛量の少ないかつらを載せることもあります。そうすることで、ちょっと地肌が透けそうな感じがでるんです。

――若い役者さんだと毛量が多いので、少なく見せる工夫が必要になってくるわけですね。

江川:そういうふうにリアルに表現させてもらえるときはやりますし、そこまではげさせなくていいとなると控えます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン