渋谷容疑者と妻・元妻の関係(『週刊ポスト』2006年2月10日号より)
なぜ同居女性たちは博仁容疑者のもとを離れないのか。精神科医の片田珠美さんがこう分析する。
「これまでの報道を見る限り、博仁容疑者は“死を回避するため”とか“霊がついている”とかと言って脅して恐怖心を植えつけることで、女性たちを意のままに操り、肉体関係を結んでいたようです。一度、恐怖で支配されると、なかなか抜け出せないのが人間の心理です。博仁容疑者のように、他人を意のままに操ろうとする人は専門用語で『マニピュレーター』と呼ばれ、カルト宗教の教祖などにも多い危険なタイプとも考えられています」
恐怖支配で絶対的な存在に
博仁容疑者がメディアのインタビューで語ったところによると、私大を卒業後、臨床検査会社や運送会社などの職を転々としてきたという。1974年に最初の妻と結婚し、2人の子供に恵まれた。1995年に現在の自宅に引っ越して家族4人で生活していたが、1999年に離婚。妻子は家を出た。その直後から、博仁容疑者は占い師を自称するようになり、“妻候補”を集めるようになった。この一夫多妻家族の近年の暮らしぶりについて、近隣住民はこう語る。
「一緒に住んでいる女性たちは、百貨店やドラッグストアなどで働いているようです。毎朝7時頃に自転車に乗って通勤する姿を見かけます。女性たちは外では基本的に帽子やサングラスをかけて、マスクもしている。目立ちたくないんでしょうね」
博仁容疑者は2006年の逮捕当時は働いておらず、妻たちが働いたお金で生活していた。現在もその生活スタイルは変わらない。だが、妻たちには変化がある。
「おそらく、いまも外で働いている女性は4人くらい。残りの女性は買い物や料理などの、家事を担当してるんじゃないかな。コロナの影響で仕事をなくした人もいたみたいです」(別の近隣住民)
2006年は博仁容疑者が自ら求人広告を出すなどして女性を勧誘していたが、今回は千秋容疑者がリクルート役を担い、一緒に逮捕された。常識的に考えると、千秋容疑者にとって“妻”が増えることはうれしくないはずだが、なぜ彼女はその片棒を担いだのか。前出の片田さんは、「女性が女性を誘っていたことは、博仁容疑者と妻たちの関係を象徴している」と読み解く。
「もし千秋容疑者が本当に愛情を持っていたとすれば、ほかの女性を勧誘したりしません。20年にもわたる恐怖支配により、彼女にとって博仁容疑者は絶対的な存在となり、上下関係が完成し、“命令に従わないと怖い”という気持ちで若い女性を勧誘していると考えられます。ほかの女性も同じ精神状態の可能性が高い」
元妻のひとりの携帯電話を鳴らすと無機質な声で「はい」と応答したが、女性セブンと名乗ると数秒の沈黙ののちに切られた。いまも屋敷に残る妻たちは、夫の帰りをそこで待ち続けるのだろうか。
※女性セブン2023年3月2・9日号
渋谷容疑者と妻(2006年に行われた会見)
会見には“妻”を同席させた(2006年に行われた会見)