一方で、完全な「演出」だという部分もあるという。
「有村架純さん演じる瀬名に今川氏真(溝畑淳平・33)が懸想していたというのは完全な創作でしょう。
時代考証を採用するかというのは最終的には制作側の判断となります。歴史研究者は研究に際し当時の日記や書簡、公文書の『一次史料』しか信用しない。しかし、それでは家康の人物像や何を考えていたのかなどは一切わからない。この『わからない』部分を、後に徳川家の家臣らが綴った比較的信ぴょう性の高い『三河物語』や『松平記』などの『二次史料』から、家康の言葉や性格、決断などを拾って肉付けしていくのです。
そもそも大河ドラマは“史実”ではなくあくまでもフィクション。一次史料にない部分は当時の常識から逸脱しなければ、自由に脚色していいのです。あくまでも史実というのであれば、大河ではなく歴史探偵を観ていただけばよい」
『どうする家康』では、今後も武田信玄や上杉謙信など名だたる戦国武将が登場する。「古沢大河」はどのような“新解釈”を見せてくれるのか。
※週刊ポスト2023年3月3日号