芸能

岡田准一が新品の木刀を一振りで叩き折る…NHK武術番組『明鏡止水』プロデューサーがマニアックな演出にこだわる理由【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】

岡田、ケンドーコバヤシ

岡田が木刀を折ることもある武術バラエティの秘密とは(右はケンドーコバヤシ)。(C)NHK

 岡田准一とケンドーコバヤシがMCを務める武術バラエティ番組『明鏡止水~武のKAMIWAZA~』(NHK)では、視聴者に“迎合しない”放送内容がSNSを中心に支持を集めている。2023年1月から全8回のレギュラー放送が決まり、今まで取り上げられてきた内容は「武神館」「香取神道流」「大東流合気柔術」「兵法二天一流」など、どれもマニアックでディープな内容。しかし、武術家の達人と岡田准一による熱いトークと実演が繰り広げられていくと、武術の奥深さや魅力が画面から全面に表れてくる。番組統括プロデューサーの森脇雅人氏に、武術という間口が決して広いとはいえないテーマでも脚色を加えない演出を貫く理由を訊いた。

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第3回【前後編の後編】。

 * * *

SNS上では「岡田信長」として話題に

 大河ドラマ『どうする家康』(NHK)の第2話で、岡田准一扮する織田信長が、少年時代の徳川家康を鍛えるシーンがある。そこで家康は信長の腕に脚を絡めて背中に回り上を取る柔術の「オモプラッタ」のような寝技を繰り出した。これは第1話で松本潤扮する成長した家康が同じ技を使ったことにつながっているのだが、この寝技の攻防を取り入れたのは岡田だという。岡田は柔術を始めとする武術に精通し、これまでもあまりアクションでは使われない寝技の技術を映画などで見せてきた。岡田准一は間違いなく日本のアクションのリアリティーレベルを上げている。

 そんな岡田がMCを務めているのが『明鏡止水~武のKAMIWAZA~』(NHK)だ。様々な武術の真髄を紹介するこのバラエティ番組の反響を統括プロデューサーの森脇雅人はこう語る。

「私は編成の心はうかがい知りませんが、たまたま岡田さんが出演されている大河ドラマが放送されている時期に、『明鏡止水』のレギュラー放送が始まったので、リアルタイムで番組を見ながらTwitter検索をすると、『岡田信長怖いよ』とか『岡田信長、たぶん本能寺で死なないだろ』みたいなのがあるんですよ(笑)。だから、俳優としての岡田さんともコラボレーションできている感じがありますね。

 あと、『明鏡止水の時間だ。風呂に入って身を清めよう』とか『なんとなく見始めたけど正座しちゃってました』とか内面で感じてくださっている方が結構いる。『番組の中に漂ってるお互いに対する敬意というか、そのリスペクトフルな空気っていうのに胸を打たれる』と書いてくださっていたり。バラエティという形式をとったにもかかわらず、各先生の持っている精神的な深さみたいな部分がちゃんと伝わっているんだなと感動しますね」

 そんな森脇自身も武道経験者だ。自身では「実践者というのはおこがましい」と言うが、その姿勢の良さや佇まいから武道家然とした凄みが伝わってくる。1993年にNHKに入局し、最初の勤務地だった福岡でこの番組にも出演した冨永彰三の杖道の講習会に参加。その後、空手などを経験しつつ、NHK合気道部に入部し、現在は部長を務めている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト