国内

【政治部記者覆面座談会】差別発言で秘書官更迭、オフレコ破りに他社から反感「みんなのネタ元が…」の陰口

記者とのオフレコ懇談で問題発言があった荒井勝喜氏(時事通信フォト)

記者とのオフレコ懇談で問題発言があった荒井勝喜氏(写真中央、時事通信フォト)

 側近秘書官の差別発言が「オフレコ破り」され、外遊に同行した長男の「公用車で観光」が報じられ、日銀総裁人事はまさかの“誤報”も飛び出した。ドタバタ劇を繰り広げている岸田文雄・首相の周囲で、いったい何が起きているのか。そこで本誌・週刊ポストは官邸詰めや自民党担当の政治記者4人による、内側から見た「岸田政権の正体」についての覆面座談会を開催。発言者を特定されないために社名、担当部署は伏せるが、記者AとBはキャップクラスのベテラン、記者CとDは第一線の若手だ。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
司会(編集部):官邸の体制という面では、記者とのオフレコ懇談でLGBTなど性的少数者や同性婚カップルをめぐり「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと発言した荒井勝喜・首相秘書官の更迭の後遺症は大きいのか。

記者D:荒井秘書官が問題発言した日、各社の総理番の若手記者たちは「今のはマジでやばくない?」「さすがに報じたほうがいいかな」と相談していたから、現場レベルではみんな問題意識を持っていたけど、どう扱ったらいいかわからなかった。報じたのは毎日1社。毎日では署名記事を書いた官邸キャップの高橋恵子記者にオフ懇メモが上がった段階で報道すべきと判断したようですが、ある社は記者がキャップに情報を上げるのが遅れて、まわりからオフ懇の内容を聞いたキャップが「なんで報告しないんだ!」とかなり怒っていた。それでも知った上で書かないという判断になった。荒井氏が改めてオンで会見をする前の段階で、毎日の後追い報道したのは共同通信と北海道新聞だけでした。

司会:朝日は記者が懇談に出ていなかったと書いている。本当なのか。

記者C:朝日は総理番記者が3人いて、囲み取材には毎日参加していたが、その日だけ3人とも別の取材に行っていたようです。人手不足だからスクープを逃したんじゃないかな、と。

記者D:荒井さんは以前から、暴言集を作りたいくらい暴言を連発していたが、口が軽いから若い番記者からはネタ元として重宝がられていた。だからこれまで問題発言が報じられなかった。今回は毎日の女性記者が、この発言は許せないとなったようだが、先陣を切るなら毎日だろうなとは社風からして予想はつきましたね。

記者B:でも、毎日がオフレコ協定破りしたことを「こう決断した」とやたら自慢げに書いたことで他社の反発も大きい。

記者C:そういう空気はありますね。あの一件以来、他の秘書官たちの口が重くなって、他の番記者から「みんなのネタ元だった荒井さんがあの記者のせいで」と陰口を言われている。

記者D:オフレコ破り報道後、自民党の小物の議員ほど「(オフレコ破りをされて)書かれちゃうから話せないなぁ」なんて口にするようになりましたからね。

第3回につづく

※週刊ポスト2023年3月10・17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

草葉の陰で何を思うか
小澤征爾さん「お別れ会」に長男・小澤征悦と妻・桑子真帆アナは参加せず 遺産管理を巡り実姉との間に深い溝
女性セブン
内田容疑者とともに殺人容疑がかけられている19歳のA子。内田容疑者のSNSにはA子が頻繁に登場していた
共犯の19歳A子を“舎弟”と呼んだ内田梨瑚容疑者(21) 殺害直後、タバコ片手にノリノリで『非行少女』を歌う姿をSNSに投稿 「頬を寄せながら……」【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
訪英に向け、慎重を期されている(4月、東京・千代田区。撮影/JMPA)
【消せないトラウマ】雅子さま、訪英直前の記者会見は欠席か ロンドン到着後の日程も不透明 「慎重すぎるのでは…」との指摘も
女性セブン
坂口憲二(時事通信フォト)
映画『キングダム』“第5弾以降”の撮影が7月に開始へ、坂口憲二が出演か 『教場』で共演した木村拓哉が復帰を後押し
女性セブン
殺人未遂容疑で逮捕された笹山なつき容疑者
《鹿児島2歳児カッター切りつけ》3月末に10人退職…“要塞”と揶揄される保育園の中で何が「口調の強い園長先生」「新卒職員が2カ月で髪ボサボサで保護者会に…」近隣住民語る10年前の異変
NEWSポストセブン
殺人容疑で逮捕された内田梨湖容疑者(SNSより)
《強気な性格の私も愛して》内田梨瑚容疑者がSNSの写真転載にキレた背景に加工だらけのTikTok投稿【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン
「完封デート」の小笠原慎之介選手(時事通信)
中日・小笠原慎之介“北川景子似美女”と焼肉→ホテルの「完封デート」撮 “モテないキャラ”も育んでいた遠距離愛
NEWSポストセブン
殺人容疑で逮捕された内田梨瑚容疑者(SNSより)
《17歳の女子高生を殺害》昼は化粧品店で働いた内田梨瑚容疑者(21)が旭川の繁華街「未成年飲酒・喫煙」界隈で見せていた「ヤンキー系」素顔
NEWSポストセブン
トンボ論文で話題になった悠仁さま
悠仁さま「トンボ研究」が一段落 赤坂御用地内の御池の改修工事は10年の沈黙を破って再開
女性セブン
三田寛子と中村芝翫夫婦の家で、芝翫と愛人が同棲しているという
【不倫真相スクープ】三田寛子、実家を乗っ取られた? 中村芝翫と愛人の生活が“通い愛”から同棲に変化 ガレージには引っ越しの段ボールが山積み
女性セブン
自転車で牧場を回られる陛下、雅子さま、愛子さま
愛子さまが御料牧場でタケノコ掘り、ご一家でのサイクリング、愛猫&愛犬…貴重な写真を公開
女性セブン
殺人容疑で逮捕された内田梨瑚容疑者(SNSより)
「リコ的に“年下に舐めた態度をとられた”」17歳女子高生を橋から落とした21歳容疑者が引けなくなった「イキリ体質」証言【旭川・女子高生殺害】
NEWSポストセブン