国内

井筒和幸監督、政府の「トマホーク400発購入」に疑問 「これが国民の命と暮らしを守ることなのか」

(時事通信フォト)

「トマホーク」400発購入を決めた(時事通信フォト)

 政府が保有を決めた敵基地攻撃能力。アメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入する予定であることも明らかになった。これについて井筒和幸監督が疑問を投げかける。

 * * *
 アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」を400発も買って配置することを、岸田政府は誰から言われたか知らないが、決めてしまった。射程は東京から沖縄ぐらいの距離で、時速約900キロで到達するのに2時間弱かかるとか。政府はこれも「敵基地攻撃能力」と呼ぶが、専守防衛なんて疑わしいし、憲法に違反したごまかし言葉だろ。

 今の国会でも、政府は野党から、何でそんなものを買ったのか?飛んでいくうちに撃ち落されるだけだと言われ、米軍がイラク戦争や湾岸戦争の先制攻撃で使った例を示されて、「敵が動く前に一斉に飽和攻撃で大量に撃つというのが今までの使い方。一度に大量に撃たないと迎撃される。これでどんな使い方をするのか?」と防衛大臣も問い詰められた。

 さらに野党は、もしも敵の艦艇や上陸部隊が日本の南西諸島に侵攻してきて、「石垣島に上陸されたら、トマホークをその島にめがけて撃つのか?」と質して、防衛大臣が「上陸した部隊にどうということは答えられない」というと、「上陸しようとする者には撃つが、上陸したものに対しては撃たないのはおかしいじゃないか」と突っこみ、岸田首相に「島の住民をどうやって逃がすのか? 島の皆さんが心配してる。トマホークは外に撃つだけで、国内には撃たないのか。ハッキリしてほしい」と迫った。すると、首相は「…国民の命や暮らしを万全の体制を…南西諸島の皆さんも含めて守れる防衛体制を」と判で押したようなことを言うので、呆れてテレビのスイッチを切った。

 撃ち合いになれば、沖縄はまた捨て石にされるだろう。自衛隊と米軍の基地がある沖縄は真っ先に狙われ、戦争に巻き込まれる。が、基地がある周辺は大変な被害が出るだろうし、原発周辺は特に危険です、とか、そんな被害の予想は、首相も大臣も官僚も誰もまったく説明していない。そして、トマホーク400発を問答無用に買うことにしたのだ。
いや、買わされることになったんだろう。これが、国の存立や国民の命と暮らしを守ることなのか。まったく理解できない。

 こんな専制政治は今に始まったことじゃない。

「我が国に対する武力攻撃が発生したこと,又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないこと。必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」が武力行使の3要件だと、憲法を勝手に解釈し、集団的自衛権も許したのは、かつての安倍内閣だ。  

 密接な他国はアメリカだ。アメリカが中国の台湾有事の援護に出ると、当然、日本はその3要件の「屁理屈」で、参戦しなければならない。しないと叱られる。叱られないために自衛隊は出動するしかない。それこそ、アメリカの言いなり政府に他に手段はない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

騒然とする改札付近と逮捕された戸田佳孝容疑者(時事通信)
《凄惨な現場写真》「電車ドア前から階段まで血溜まりが…」「ホームには中華包丁」東大前切り付け事件の“緊迫の現場”を目撃者が証言
NEWSポストセブン
2013年の教皇選挙のために礼拝堂に集まった枢機卿(Getty Images)
「下馬評の高い枢機卿ほど選ばれない」教皇選挙“コンクラーベ”過去には人気者の足をすくうスキャンダルが続々、進歩派・リベラル派と保守派の対立図式も
週刊ポスト
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
千葉県成田市のアパートの1室から遺体で見つかったブラジル国籍のボルジェス・シウヴァ・アマンダさん、遺体が発見されたアパート(右・instagram)
〈正直な心を大切にする日本人は素晴らしい〉“日本愛”をSNS投稿したブラジル人女性研究者が遺体で発見、遺族が吐露した深い悲しみ「勉強熱心で賢く、素晴らしい女の子」【千葉県・成田市】
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン