昭恵さん、洋子さん、岸信夫氏らもいる家族写真(安倍氏のTwitterより)
「首相の意向だから首相秘書官が動いた」
獣医学部認可をめぐる加計学園と首相官邸との接触については、当時の柳瀬唯夫・首相秘書官氏が国会に参考人招致され、2015年に加計学園関係者と3回面会したが、安倍首相には報告しなかったことを証言した。『回顧録』でも、安倍氏はこう語っている。
〈いちいち報告を受けないですよ。首相は国会に対応しつつ、政策の判断をしなければいけない。個別の案件は、秘書官が片付けてくれないと困ります。しかも、文科省、農水省、内閣府にまたがる案件なのだから、首相秘書官が会って調整してどこが悪いんだ、という話でしょう〉
前川氏はこの安倍氏の主張にも強く反論する。
「はっきりしているのは翌年2018年に愛媛県が参議院の予算委員会に提出した文書です。その中に凄く具体的に書かれていて、加計学園の事務局長が愛媛県に赴き、課長さんたち役人に状況説明したという資料。平成27年3月と書かれている。この中に、『加計学園からの報告は次の通り』と書かれていて、『2月25日に理事長、加計孝太郎さんが首相と面談、15分程度』と。
で、首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』との言葉が書かれている。2015年の話ですから、加計学園に獣医学部をつくらせてあげると決めたのは2017年1月ですが、そのほぼ2年前に理事長と安倍首相が面談しているんですね。
さらに文書では、『柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定』と書いてあるんです。そういう経緯を加計学園の事務局長が愛媛県に説明していて、その文書が国会に提出されている。
ということは、安倍さんは加計孝太郎さんから獣医学部新設の件を聞いていて、その後、柳瀬秘書官が加計学園側に詳しい資料を出してねと言っている。その流れを見ると、安倍首相が柳瀬さんに『ちゃんとやっておいてね』と指示して、柳瀬さんがフォローをしたとしか思えないんですよ。
『回顧録』で安倍さんは、『いちいち報告を受けないですよ』と言っている。が、“そうじゃないでしょ、報告じゃなくてあなたが指示したんでしょ”という話なんです。
それと安倍さんは『回顧録』の中で他にも、『文科省、農水省、内閣府にまたがる案件なのだから、首相秘書官が会って調整してどこが悪いんだ、という話でしょう』と言っています。しかし、各省庁にまたがる案件を調整するのは『内閣府』の役割です 。
内閣府はもともと総合調整官庁ですから。普通に省庁にまたがる案件で、首相秘書官が出てくることはまずありませんよ。この案件は首相の意向だから首相秘書官が動いたわけで、『またがっているから』秘書官が動いたというのは違います」