スポーツ

WBC決勝前、大谷翔平はなぜ「憧れるのをやめましょう」と言ったのか 心理士が指摘する“憧れ”の副作用

WBC表彰式後の大谷翔平(AFP=時事)

WBC表彰式後の大谷翔平(AFP=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝前にロッカールームでの円陣で大谷翔平(エンゼルス、28才)発した言葉について。

 * * *
 ハラハラしながら手に汗握った2日間が終わった。こんなにドラマチックな展開が繰り広げられる試合はもうないかもしれない。大谷翔平選手の試合後のインタビューではないが、終わってしまったのがさみしいくらい最高の試合だったWBC。その勝利の秘訣を決勝直前、円陣を組んで選手に声をかけた大谷選手の言葉に見つけた。

 決勝戦までの試合で、選手たちはそれぞれきっちりと自分たちの仕事をし、役割を果たしていた。WBC開幕から不振にあえいでいた村上宗隆選手(ヤクルト、23才)も準決勝で二塁打を放ち、侍ジャパンはサヨナラ勝ち。侍ジャパン公式サポートキャプテンの中居正広さん(50才)は、それを見て「おはようございます」と挨拶。ようやく村上が目覚めた瞬間に思わず、間に合ってよかったと思ってしまった。

 決勝戦の相手は米国代表、全員がメジャーリーガー、銀河系一強いといわれたチームだ。史上最強とよばれる日本の選手たちだが、その多くにとってメジャーリーグのスター選手はメディアの中で見る選手たちだ。それも試合が行われたのはマイアミ。日本にとってはアウェイである。雰囲気に飲み込まれたら、萎縮してしまうだろう。

 そこで大谷選手が選手たちに伝えたのは、「憧れるのをやめましょう」だった。「憧れてしまったらね。越えられないんで」「今日1日だけは、彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」。

 大谷選手は経験から、憧れが心や体にもたらす副作用をよく知っているのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン