放射性薬剤ルタテラのがん細胞に対する作用
これ以外にも、核医学治療において期待されているのが前立腺がんに対するPSMA(前立腺特異的膜抗原)治療だ。すでに国内で治験が行なわれている。他に金沢大学附属病院では小児の神経芽腫にMIBGという核医学治療薬の臨床試験も実施。進行した神経芽腫の治療として保険適用が強く望まれている。
日本で保険適用の核医学治療薬は全て輸入頼り。残念なことにウクライナ侵攻など様々な海外情勢で、その輸入が滞っているのが現状だ。
今後は放射性物質を扱うアレルギーの風潮に振り回されることなく、冷静な国内での製造に向けた議論と環境作りが必要となってきている。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年4月7・14日号
萱野大樹・金沢大学附属病院核医学診療科准教授