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『どうする家康』 時代劇研究家が注目する“ラスボスになれなかった男”足利義昭 

古田新太

『どうする家康』で足利義昭を演じる古田新太

 NHK大河ドラマ『どうする家康』。多くの個性的な登場人物が登場しているが、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが注目するのは古田新太演じる足利義昭。ペリーさんが今後の注目ポイントとともに解説する。

 * * *
『どうする家康』は、いよいよ前半の役者が揃った。そのひとりが、室町幕府十五代将軍・足利義昭(古田新太)だ。

 信長(岡田准一)の力で新将軍となった足利義昭は、大名たちに上洛を命じ、家康も都へ行くことになる。「都か…将軍様はどんなお方じゃろうなあ」と胸を膨らませた家康と家臣たちだが、義昭の家臣・明智光秀(酒向芳)は、将軍に会えるのは、明日か十日後か、今日これからかもなどと冷たい対応。

 やっとのことで謁見となったが、酔ったようによろよろと現れた義昭は、中途半端な白塗りでまだら顔。きちんと姓名を名乗った家康を「松平」と呼び、話してる途中にぐーっといびきをかいて、烏帽子を落とす始末。さらに「官位を金で買った田舎もの」と蔑んだ挙句、家康が懐に大事にしまっていた南蛮菓子のコンフェイを取り上げて、全部口に放り込み、バリバリとかみ砕きながら「寝る」と言い捨てて、去ってしまった。

 コンフェイは、家康が、嫡男・信康の妻になった信長の娘・五徳や妻の瀬名、娘の亀のために京土産にすると約束したもの。なんと「一粒で山城一つとも二つとも」の価値があるという超高級品で、三河縁の商人・茶屋四郎次郎(中村勘九郎)が苦労して数粒手に入れたものだった。それを義昭に奪わせたのは、光秀だった。いやいや、めちゃくちゃ感じ悪いよ、義昭&光秀!!

 光秀といえば、もともと謀反人として描かれることが多かったが、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』で長谷川博己が、志を持った武将として熱演してイメージを変えたばかり。今回は思いっきり悪役モードで、暗躍している。

 一方、足利義昭は、昔から「お騒がせの流浪公方」「ダメ将軍」と描かれる人物。仏門にいたが、還俗して朝倉氏などの擁護を受け、信長の力で将軍になったものの、後に対立、都を追放になってしまう。すると、今度は西国の武将たちに接近する。ドラマのイメージとしては、自分をラスボスと信じていたが、とてもその器じゃなかったというところだ。神経質で強がりのイメージだったので、古田新太の無遠慮でどっかりした義昭には、驚いた。

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