民放の長時間時代劇では、石橋蓮司や京本政樹がくせ者義昭を演じてきた。過去の大河ドラマでは、何かと不満でプンプンしていた『軍師官兵衛』の吹越満、腹黒い側近(片岡鶴太郎)に操られて涙目になってた『麒麟がくる』の滝藤賢一も印象深い。面白いのは、日本を代表する演出家ふたりが俳優として義昭を演じていること。
司馬遼太郎原作1973年の大河『国盗り物語』では、このあと映画監督として活躍した伊丹十三がキーキーとヒステリックな義昭として登場。茶室で光秀(近藤正臣)に「信長(高橋英樹)は討たれる。わしが声をかければ、本願寺も中国の毛利も動く…信長めに征夷大将軍の恐ろしさを見せてくれる!」とこっそり信長を裏切ろうと言い出す。また、2006年、同じく司馬遼太郎原作、大石静脚本の大河『功名が辻』では、三谷幸喜がトホホ系義昭になっている。
『どうする家康』の古田新太義昭は、感じの悪さでは歴代ピカイチ。戦国最大のミステリーとも言われる明智光秀による「本能寺の変」については、黒幕が実は義昭だったなんて説もあるので、ブラック義昭と光秀の関わり、動きは、要チェックである。