国が二の足を踏んでいるうちに問題はさらに深刻さを増す。科学ジャーナリストの植田武智さんが話す。

「いまは水だけがクローズアップされていますが、今後は食品の汚染も無視できなくなるでしょう。土壌や海洋の汚染が明らかになり、アメリカでは淡水魚のPFAS濃度に関するデータが集まっています。デンマークでは、魚粉の餌を与えられた鶏卵から、PFASが検出されています。

 種類によっては土壌から野菜に移行することも確認されました」

 原田さんが続ける。

「PFAS汚染は主に工場などで使用されていた製品によって起こるものです。これまでどのように使用されてきたのかは、メーカー企業でないとわかりません。それらを含めて事実を把握する必要がある。政府はPFAS対応を環境省だけに任せていますが、それでは全体を掴むことはできない。政府は関係省庁、民間企業をまとめ、PFAS問題に取り組む必要があります」

 日本の水は安全。そう胸を張ってふたたび言える日が来るために、政府の迅速な対応が求められる。

(了。前編から読む)

※女性セブン2023年4月20日号

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