チャットボットAIの「ChatGPT」が話題になっているなか、AIによる画像生成技術も2022年から革新的な進歩を続けている。ツイッター上には、AIで仮想グラビアアイドルの画像を生成する“AIグラドル職人”が急増中だ。匿名で活動する彼らへの取材を進めると、「AIグラビアアイドル」の画像は、たった数十秒から1分で作成できると明かした。
昨年8月に英・スタビリティAI社が、画像生成AI「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」(以下、「SD」)を公開したことがAIグラビアアイドルの画像を生成する足掛かりとなった。SDは、生成したい画像の要素を文字で入力するだけで、AIがその画像を生成するという機能を具現化したもので、同社はSDの無償利用を認めたため、一般ユーザーも使用して画像生成ができるようになった。
今年2月には、TASUKU2023氏が、女性の画像生成に特化した学習モデル「ChilloutMix(チル・アウト・ミックス)」を公開した。前述の画像生成AIのSDと組み合わせて利用すると、極めて写実的で美しい女性の画像が生成できるようになり、今年3月を境に“AIグラドル職人”が続々と現われた。
AI天使氏も、今年2月からSDとChilloutMixを利用して、AIグラビアアイドルの画像生成を始めた一人だ。
「2019年4月にPCゲームを始めようと約20万円のビデオカードを購入したんです。結局、ゲームはあまりしなかったのですが、昨年SDが出てきて興味を持ちました。当時、画像生成には高性能なビデオカードが必須と言われていたのですが、『そういえば、うちにあったよな』と。
SDを一通り使っても可愛い女の子が作れずに悩んで調べていた時期に、ChilloutMixを知りました。実際にやってみたら、まるで写真のように精緻な女性の画像が出てくるので、衝撃を受けたんです」(AI天使氏)
AI画像生成に必要なのは“呪文”だけ
画像の生成方法は、“呪文(正式には「プロンプト」と呼ばれる)”という生成したい画像の要素をAIに入力するだけだ。例えば、「beautiful girl」「long hair」「smile」「white dress」と入力すると、もやのかかった画像が徐々に像を結び、たちまち白いドレスを着たロングヘアの美しい女性が微笑んでいる画像が現われる。ツイッターで「AI グラビア」「AI 画像」などと検索すると、実写のグラビアと見紛う女性の画像が多数出てくるが、これらはほぼすべて作成者の指示に従ってAIが生成した実在しない女性の画像だ。
のちにChilloutMixの学習データには商用利用を不可とする一部のライセンスが含まれているとして、作成者のTASUKU2023氏は非公開にした。しかし、今年3月には鎖城郎郭@AI錬成画師氏が、商用利用も可能な学習モデル「Chilled Re-generic(チルド・リ・ジェネリック)」の作成方法を公開した。
また、Googleのクラウドサービス上で使うことで、高額なビデオカードを使用しなくても一般的なPCやスマホ、タブレットで画像が生成できるようになった。それが追い風となって“AIグラビア画像生成”のブームに火がついた。