新型コロナに治療薬はいらない
コロナ禍では、「モルヌピラビル」「ニルマトレルビル/リトナビル」「エンシトレルビルフマル酸」といった新規のコロナ治療薬も注目された。これらの治療薬はどれも高額であり、開発や実用化が発表されるたびに大きな話題を集めた。だが、兵庫県宝塚市で在宅コロナ患者の訪問診療に取り組み、1000人以上の患者を診療したこだま病院理事長の児玉慎一郎医師はこう話す。
「私の経験では、軽症の患者さんに薬は不要ですし、中等症・重症でも従来の安価な薬で充分でした。むしろ、コロナによるとは考えにくい消化器などの症状が長引く人がおり、他院で処方されたモルヌピラビルの副作用が疑われました。コロナの不安が必要以上に煽られ、新薬がコロナ克服の切り札のようにいわれてきましたが、そうした新薬には未知の副作用があり得るので安易に使うべきではないと私は思います」
児玉医師はワクチン接種後の体調不良が続く、いわゆる「ワクチン後遺症」の患者も数十人診療している。その経験から、児玉医師はどの年代に対しても、ワクチンを打つ必要はないと断言する。
「強い倦怠感や頑固な皮膚症状に悩む人がいます。また、接種後に高熱に襲われて当院に搬送された患者さんの中に、肝障害や副腎障害を起こしていた人がいました。接種後に『倦怠感や発熱くらいの副反応で済んだ』と安心している人もいますが、もしかするとその間に、臓器障害が起こっていた人もいるのではと心配しています」
特に女性は、普段の食生活の「栄養の偏り」がワクチン後遺症の症状を強めているのではないかと思われるケースが少なくないという。バランスのいい食事や睡眠不足の解消といった生活改善だけで快方に向かう人も多いので、後遺症に苦しんでいても、希望を持って養生を続けてほしいと児玉医師はアドバイスする。
私たちはどうしても、コレステロール値、血圧、血糖値などの検査結果にとらわれてしまう。そのために薬に期待しがちだが、いちばん大事なのは「自分が自分らしく生きることができるかどうか」ではないだろうか。特に高齢者は、薬の副作用に苛まれるよりも、自立して自由な生活ができる時間を延ばすことが大切だ。
そのためには、むしろ医療に依存しない方が、いい結果を生むことも多いのだ。
※女性セブン2023年4月20日号