大正から昭和にかけての思想家・中村天風の『運命を拓く』、京セラ創業者で経団連会長も歴任した経営者・稲盛和夫の『成功への情熱』、アメリカの実業家で慈善活動家としても知られたアンドリュー・カーネギーの『富の福音』──彼の本棚にズラリと並ぶのは、まるで経営者が愛するビジネス書。希代のスーパーアスリート、大谷翔平(28才)の愛読書と聞いて信じられるだろうか。
日本ハム時代の大谷の自室の本棚には、トレーニングや栄養学の本に交ざって、そういったタイトルが並んでいたという。メジャーリーグ・エンゼルスの大谷が、4月17日(日本時間18日)の試合に先発出場。対戦相手のレッドソックスには、WBCで侍ジャパンをともに牽引した吉田正尚(29才)が所属しており、投手・大谷にとっては今シーズン最初の「日本人対決」だった。
打者としては昨年9月からの連続試合出塁を日本人歴代5位タイの「36」まで伸ばすなど好調を維持している一方、チームは大事なところでミスを連発して逆転負けを喫するなど、いまいち波に乗り切れていない。そんな状況下でも、大谷は腐ることなく真摯に野球に取り組んでいる。高いモチベーションを維持できる秘訣は「読書」にあるという。
「野球の練習と睡眠ばかりが日々の生活の大部分を占めていると見られがちですが、実はかなりの読書家。インドア派で、ゆっくりと読書に時間を費やすことも多いそうです」(スポーツライター)
大谷が高校生のときに作成した「目標達成シート」にも、将来の成功の要素の1つとして《本を読む》と記されていた。大切さは、恩師である栗山英樹氏(61才)からも教えられた。
「野球以外のことから、幅広く知見を取り入れることの重要性を教えたそうです」(スポーツ紙記者)
その効果は、実際にグラウンド上で生かされている。たとえば前出の『運命を拓く』は、究極にポジティブな思考を持つことを説いている。
「天風はエジプトで出会ったヨガの指導者に“死ぬまでは生きている。死を考えても仕方ない”と言われたことから、マイナス思考の無意味さを見出しました。大谷選手がプレッシャーのかかる場面でも普段の力を発揮できるのは、読書から得たポジティブ思考があるからと言えるでしょう」(前出・スポーツライター)