訴状の記述を確認するため、Bさんに直接、話を聞いた。
──弘利さんが寄付を申し出た現場にいたことは事実か?
「立ち会ったことは間違いないです。遺族の方も、そこは不思議に思っているだろうと思います。でも、私がいなければ、足元がふらついて転ぶし、眼鏡もかけられないんですよ。私も立ち会いたくてそんな場に行ったんやないんです」
──訴状には「弘利の愛人」と書かれているが、それは認めるか?
「何を元にしてそうおっしゃっているのかわかりませんが、社長は何年も前からうちのお店をずっとかわいがってくれていたお客様です。私はその店のママというだけです」
──A医師とはどのような関係?
「お店にたまにくるお客さんで、私も体を患っているので先生に診てもらっています。患者とお医者様という関係です」
──寄付をした当時の弘利さんに、認知症の症状はなかった?
「うーん、あれくらい高齢になると、どこからどこまでが認知症で、どこからどこまでがそうでないか、見分けつかないですよ。私もこの頃、認知症が入ってきて、よう覚えとらんのやわ」
寄付の現場にいたことは認めたが、弘利さんやA医師との特別な関係については否定した。
弘利さんが寄付をした経緯について、A医師にも取材を申し込んだが、秘書を通じて「個人としてのコメントは申しあげられません。問い合わせる件があれば大学側が対応しますので、そちらによろしくお願いします」との回答だった。
金沢医大に対しても広報部企画課に質問状を送付したが、個別の質問には答えず、文書で「本学は、正当な手続きを経て寄付金を受け入れています。現時点では訴状が届いておらず、今後、訴状内容を確認してから対応したいと思います」と回答したのみだった。