国内

井筒和幸監督、G7「広島ビジョン」に「被爆地の広島まで来て“核兵器は必要だ”と居直っている」

広島で行われたサミット(時事通信フォト)

広島で行われたG7サミット(時事通信フォト)

 広島で行われた先進7カ国首脳会議(サミット)では、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」が示された。この広島ビジョンに絶望を感じたのは映画監督の井筒和幸だ。井筒監督が自らの考えを綴る。

 * * *
 あのG7広島サミットは一体、何だったんだ。核兵器のない世界にするという目標のために、さあ、我々はどうしよう、ロシアのウクライナ侵略戦争をすぐに止めさせるにはさあ、どうしたらいいか、と話し合うような会議じゃなかったのは確かだ。

 核軍縮についてに「広島ビジョン」と銘打って声明は発表はしたものの、核のない世界に向けて、首脳たちが何の決意らしい決意をしたというのか。核兵器の削減をうたってはいながら、今まで、どこの核保有国も核を減らしてきたわけじゃないし、中国なんか怪しいもんだ。おまけに、「全ての人にとっての安全が損なわれない形で」で核軍縮と不拡散の取り組みしますという。誰がこんな中途半端な文句を考えついたんだろ。

 安全が損なわれないような防衛力と抑止力のためには、どうしても核兵器は必要なんだ、ロシアや北朝鮮などが挑発する限りは持っておくんだと、こともあろうにわざわざ被爆地の広島まで核保有国のトップたちを集めて、居直らせたのだ。様子見て軍縮しますって言ってるだけだ。そんな半端な声明しか出せないなら、議長国なんかやるなと思った。

 岸田首相は、会見で、日本は核抑止力に依存を続けているし、核廃絶とは相いれないのじゃないかと問われても、「核のない世界という理想に現実を近づけていくことは矛盾しない。厳しい現実に理想を結びつけることに道筋を示し、行動することこそ外交や政治に求められる責任だ」と、如何にもアメリカの属国らしい、岸田首相らしい、他人ごとのような答え方だ。「それが私の責任だ」となんでハッキリ言わないんだ。一体、アメリカにどんな道筋を示すんだと訊きたい。防衛予算を異常に倍増させ、アメリカから「抑止力の拡大」を言われたのか、トマホークをバカ買いし、さあ、この先、核廃絶の道筋、努力とは何なんだか。国民にとことん聞かせてほしいものだ。

 核のない世界なんて当分、無理だろうと世界中に思わせているのがロシアウクライナ戦争だ。広島ビジョンの声明は、今、プーチンにはとても通用しないだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン