芸能

やたら美味そうな『かしましめし』“劇中ごはん”の秘密 舞台裏を支える「フードスタイリスト」の職人芸

(c)「かしましめし」製作委員会

最終話は5月29日23時6分スタート (c)「かしましめし」製作委員会

「飯テロ」と呼ばれる作品群が、ドラマの一大ジャンルと化して久しい。『深夜食堂』(2009年〜)、『孤独のグルメ』(2012年〜)に代表されるように、観るだけで食欲が刺激されるほど魅力的な料理が「これでもか」と画面に映し出される昨今の風潮は、料理が「小道具」ではなく作品のでき栄えを左右する演出の「カギ」となったことを示しているようだ。その舞台裏で活躍する職人こそ、料理を考案し撮影現場では調理も担う「フードスタイリスト」。現在放送中の『かしましめし』(テレビ東京系)でも、その存在感が際立っている。同作のフードスタイリストである飯島奈美さんとそのスタッフに、ライターの小林久乃氏が話を聞いた。【前後編の前編】

 * * *
 おかざき真里による漫画原作のドラマ『かしましめし』が人気だ。デザイン会社勤務中、パワハラが原因で退職した小田千春(前田敦子)。仕事や人生の方向性に迷いながら日々を送る彼女の救いは、気分転換のためにする「料理」だ。その味と匂いに惹かれるように、千春の元へ集まったのは、美大の同級生・中村聖子(通称ナカムラ/成海璃子)と、雨海英治(塩野瑛久)。恋愛や仕事など各々に自罰的な思いを抱えた3人が、寄り添うようにルームシェアを始める。疲れた彼らの心を癒すのは、千春を中心につくり出す“ごはん”だった──。

 この“ごはん”がやたら美味そうなのである。もう4人目の演者……と言っても過言ではないほど、観ていると食指が動く。一体誰が作っているのかとエンドクレジットを見ると、そこには「飯島奈美」という名前を筆頭に、ずらっとフードスタイリストが並ぶ。聞けば、全員が飯島さんの個人事務所の所属らしい。

 ややもすれば、ドラマの物語を一瞬忘れてしまいそうになるほど、“五感”を奪われる料理の数々。舞台裏ではどんな作業工程を経て、画面に登場しているのだろうか。同作のフードスタイリスト・飯島さんと板井うみさん、岡本柚紀さんの3人に話を聞いた。

(c)「かしましめし」製作委員会

(c)「かしましめし」製作委員会

現場で「演者にたくさん食べてもらう」工夫

──『かしましめし』では料理、指導、テーブルコーディネート……と食器とドリンクの準備以外はすべて関わっていると聞きました。

飯島さん:撮影に参加しているのは私の会社のスタッフです。情報を常に社内で共有して、現場には3〜4人が参加しています。

──原作漫画にかなり忠実な料理がドラマに登場しているように見えます。

飯島さん:そうですね。元来のファンの方たちをがっかりさせたくはないので、原作がある作品はそれに忠実に料理を再現していくのが私たちのベースです。そうすることで、映像が完成した際に、喜んでもらえる率が高いと感じています。

板井さん:今回で言うと、原作ではチーズタッカルビだった場面を、チュクミサムギョプサルに変えたというアレンジはありました。漫画は5〜6年近く前に描かれたものですから、流行にどうしてもタイムラグが出てしまう。飯島からの「最近の韓国料理のお勧めはこれです!」というアドバイスで、変更になりました。現場では原作と台本を行き来しながら、撮影していく……という感じです。

(c)「かしましめし」製作委員会

(c)「かしましめし」製作委員会

関連記事

トピックス

永野芽郁
《不倫騒動の田中圭はベガスでポーカー三昧も…》永野芽郁が過ごす4億円マンションでの“おとなしい暮らし”と、知人が吐露した最近の様子「自分を見失っていたのかも」
NEWSポストセブン
中居正広
中居正広FC「中居ヅラ」の返金対応に「予想以上に丁寧」と驚いたファンが嘆いた「それでも残念だったこと」《年会費1200円、破格の設定》
NEWSポストセブン
協会との関係は続く?(時事通信フォト)
《協会とケンカ別れするわけにはいかない》退職した白鵬が名古屋場所で快進撃の元弟子・草野に連日ボイスメッセージを送ったワケ
週刊ポスト
「木下MAOクラブ」で体験レッスンで指導した浅田
村上佳菜子との確執報道はどこ吹く風…浅田真央がMAOリンクで見せた「満面の笑み」と「指導者としての手応え」 体験レッスンは子どもからも保護者からも大好評
NEWSポストセブン
石破首相と妻・佳子夫人(EPA=時事)
石破首相夫人の外交ファッションが“女子大生ワンピ”からアップデート 専門家は「華やかさ以前に“上品さ”と“TPOに合わせた格式”が必要」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
中村芝翫の実家で、「別れた」はずのAさんの「誕生日会」が今年も開催された
「夜更けまで嬌声が…」中村芝翫、「別れた」愛人Aさんと“実家で誕生日パーティー”を開催…三田寛子をハラハラさせる「またくっついた疑惑」の実情
NEWSポストセブン
ノックでも観客を沸かせた長嶋茂雄氏(写真/AFLO)
《巨人V9の真実》王貞治氏、広岡達朗氏、堀内恒夫氏ら元同僚が証言する“長嶋茂雄の勇姿”「チームの叱られ役だった」
週刊ポスト
現場となったマンホール
【埼玉マンホール転落事故】「どこに怒りを…」遺族の涙 八潮陥没事故を受けて国が自治体に緊急調査を要請、その点検作業中に発生 防護マスク・安全帯は使用せず
女性セブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《秘話》遠野なぎこさんの自宅に届いていた「たくさんのファンレター」元所属事務所の関係者はその光景に胸を痛め…45年の生涯を貫いた“信念”
週刊ポスト
政府備蓄米で作ったおにぎりを試食する江藤拓農林水産相(時事通信フォト)
《進次郎氏のほうが不評だった》江藤前農水相の地元で自民大敗の“本当の元凶”「小泉進次郎さんに比べたら、江藤さんの『コメ買ったことない』失言なんてかわいいもん」
週刊ポスト
川崎、阿部、浅井、小林
女子ゴルフ「トリプルボギー不倫」に重大新局面 浅井咲希がレギュラーツアーに今季初出場で懸念される“ニアミス” 前年優勝者・川崎春花の出場判断にも注目集まる
NEWSポストセブン
6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン