国内

自民党が窮地、公明党の寝返りは“集票力の2倍”の破壊力 麻生太郎氏、萩生田光一氏も落選危機に

「創価学会票」消滅は自民の大物議員たちの選挙戦にも影響か(時事通信フォト)

「創価学会票」消滅は自民の大物議員たちの選挙戦にも影響か(時事通信フォト)

 岸田文雄・首相と麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長が6月5日に会談し、「首相は早期解散の意向」と報じられると、東京選出の自民党中堅議員からは悲鳴があがった。自公に亀裂が入っている今の状態で選挙戦が始まり、もしも自公の選挙協力が解消されれば、自民党が苦戦を強いられることになるのだ。

 では、公明票を失えば、自民党はどれだけ議席を減らすのか。それを示す自民党の内部資料を本誌・週刊ポストは入手した。

『第49回衆議院議員総選挙結果調』の表題があるA4判164ページにおよぶ冊子で、自民党選挙対策本部が前回総選挙(2021年10月)のデータを集計・分類・分析したものだ。

 資料によると、自民党が推薦した公明党候補(小選挙区)は9人全員当選。うち7人が得票率50%以上だった。一方、公明党から推薦を受けた自民党候補は263人(自民の小選挙区候補総数は279人)で、当選者は233人(小選挙区当選180人、比例復活53人)。落選は30人だった。

 自民党や民主党の事務局で選挙に携わった政治アナリストの伊藤惇夫氏は、公明票が得られなくなれば、自民党でまず落選危機に直面するのは「接戦で当選した56人」だと指摘する。

寝返ると「マイナス2票」

 大差で当選した自民党の大物議員たちも安閑とはしていられない。とくに公明票が多い選挙区では、公明票が離反すると形勢が一変する可能性があるからだ。

 別掲のリストは、自民党現職がいる選挙区を公明票が多い順にランキングしたものだ。トップの自民党東京都連会長でもある前述の萩生田氏は選挙に強いことで知られ、前回は次点に10万票以上の大差をつけて当選した。それ以前の3回の選挙も次点に5万~6万票の差をつけて勝利してきた。同区の公明票(比例代表)は4万3736票あるが、それが全部失われても十分当選できる得票に見える。

 だが、公明票の怖さは「票が減る」だけにはとどまらないことだ。伊藤氏が語る。

「公明支持者が寝る、つまり小選挙区で自民党に入れずに棄権すれば自民党候補にとってはマイナス1票です。しかし、寝返って対抗候補に票を投じると自民党候補にはマイナス2票の影響が出る。東京24区のケースでいえば、公明党票が寝れば萩生田氏は4万3736票減らすだけで済むが、寝返れば萩生田氏は票を減らすうえに、その票が相手候補に上乗せされ、足し引き8万7000票くらいがひっくり返る。過去の5万~6万票の差であれば逆転です。

 自民党都連会長の萩生田光一・政調会長は今回の自公関係悪化の原因となった公明党の東京28区への候補擁立に反対した責任者ですから、公明党支持者の強い反発を浴びて票が寝返る可能性はあるでしょう。次の総選挙で有力な対立候補が出馬すれば、選挙に強い萩生田氏でも苦戦は免れない。公明党の選挙協力見直しは、それほどのインパクトがあるものなのです」

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン