米学会が検査自体を否定
薬だけではない。過剰医療の入り口としての側面があるのが「検査」だ。早期発見・治療が重要なケースもあるが、「本当に必要か」の見極めも重要になる。取材をもとに別掲の一覧表に示した。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が語る。
「医師が勧める検査、薬について深く理解したうえで患者側が要・不要を判断するのは困難です。医療のなかには不要なものがあると知り、どうしても不審に思った時には別の医療機関にかかるのも選択肢として有効でしょう」
例えば、胃がん検診で一般的な胃部X線検査(バリウム検査)。長時間にわたる放射線照射の懸念があるうえ、腸などの消化管に穴が開く「穿孔(せんこう)」のリスクもある。
「肺がんのCT検査については、米国胸部医師学会などが『55~74歳の過去15年にわたるヘビースモーカー(30パック年*注「1日1箱」で30年間または「1日2箱」で15年間)』に対してのみ有効としています。がんの検診として行なわれているPET検査も症状がない場合、デメリットのほうが大きいとされています」(同前)
「前立腺がん」のPSA検査について、米国臨床腫瘍学会などは「行なうべきではない」と提言。
「同学会はPSA値はがんの有無に関係なく上昇することがあると指摘。欧米における複数の臨床研究では検査を受けても受けなくても患者の死亡率は変わらないとの結果も出ています」(同前)
別表の通り、その検査が必要かはその人が満たす条件によっても異なる。医師ともきちんと話し合う必要があるのだ。
※週刊ポスト2023年6月23日号