手術

日本は「入院日数」が世界一

「食道がんは執刀医の技術の差が出やすく、切除した食道と胃をつなぎ合わせるとき、下手なドクターに当たると、縫い合わせた部分がはがれやすく、予後が悪くなります。通常なら3週間で済む入院が3か月に延びたり、消化機能が低下して、慢性的な下痢に見舞われるケースもよくあります」

 室井さんも食道がんの手術には気をつけるべきと声をそろえる。

「食道がんは手術後、食事が困難になることがある。発声が難しくなり、周りとのコミュニケーションが取りづらくなることもあります」

 食道がん以外でも肺がんなどで手術を受けた後も、“後遺症”の危険性がある。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが言う。

「胸を開ける手術をすると、嚥下がしにくくなったり、咳が出づらくなって誤嚥しやすくなります。食事に関連する後遺症が残るケースが多いといえる」

 以上のように手術はリスクを伴うこともあるため、受ける前にメリットとデメリットを知っておくことが自分の身を守ることにつながる。医療ジャーナリストの増田美加さんが言う。

「特に年齢が高くなるほど治療後のリスクは増します。治療は手術だけでなく、そのかたの状態によっては、重粒子線やガンマナイフのほか、さまざまな放射線治療もあります。また、年齢だけで判断できるものではありませんが、高齢者は体の負担を考えて、治療そのものをしないという選択肢もあります。

 手術をすすめられたらまず本人の希望、年齢や状況を考慮し、術後のリスクを確認して、医師や家族とともに今後の人生と病気との向き合い方を決めてほしい」

 不要な手術を受け、体を壊す“最悪の事態”を避けるためには、「かかりつけ医」を頼りたい。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが言う。

「外科医は外科手術の専門家であり、基本的にグレーゾーンでも手術をしたがり、切る方に患者を誘導します。患者のエージェント(代理人)として中立的な立場で意見を述べてくれる信頼できるかかりつけ医を見つけておくことが大事です」(上さん)

※女性セブン2023年7月6日号

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