金正恩総書記(中央)と娘の金ジュエ(右)。2025年6月29日に撮影され、2025年6月30日に北朝鮮の国営通信社(KCNA)が公開した写真より(AFP=時事)
7月、北朝鮮が発表した子供の平均身長は、幼稚園児が100~120cm、小学生110~150cm、中学生130~160cm、高校生150~170cm、大学生155~180cm。これらが本当の平均身長なのかは不明だが、韓国とくらべて発育不良の可能性が高いと言われている。そんな北朝鮮・金正恩朝鮮労働党総書記の13歳の娘が、推定165cmと平均身長をはるかに超えて成長した様子が公開され注目を集めている。臨床心理士の岡村美奈さんが、身長が人々に与える印象と意義について分析する。
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北朝鮮で背が高くなる薬への関心が高まっているという。きっかけは朝鮮労働党の金正恩総書記の娘、キム・ジュエ氏。報じたFNNプライムオンラインの映像では、初めて金総書記と手をつないで公の場に姿を現した2022年より頭1つほど身長が伸びている。大人びた印象になり、以前の映像を見た人なら「すいぶん大きくなった」「今が成長期か」と思うだろう。だが北朝鮮でその成長が大きな意味を持つ。
彼女が姿を見せたのは6月24日、北朝鮮東部の江原道(カンウォンドウ)・元山葛麻(ウォンサカルマ)の観光地区で行われた竣工式。5月にもミサイル発射実験に立ち会った金総書記の傍らに立つ姿が公開されていたが、その時に着ていた革のジャンパーと黒のパンツ姿より、今回の白いツーピース姿の方がすらりと伸びた身長とメリハリのある女性らしいボディラインにインパクトを与えている。父親に似た丸みを帯びたふっくらした顔も、顎のラインがいくぶんすっきりしていた。ヒールのあるサンダルを履き、背筋をぴんと立ててまっすぐ顔を上げ、前を見据えるような立ち居振る舞いは、13歳とは思えないほどで凛としていて、後継者という印象さえ感じさせるも。
人には身長への固定観念があるといわれる。日本では身長差のある人に対する時、視線の高さが変わるため”見上げる”と表現する。そのため無意識のうちに背の高い方が”上”というイメージを持ちやすい。背が高い方が社会的な地位が高く権力があるように感じるし、頭脳や運動能力も高く、指導力があり、成功しているイメージを持ちやすい。体型的なものもあるが、男性ならより男らしく思えるかもしれない。男性だけでなく、女性の高身長も女性の社会進出や多様性の尊重などにより、今では好ましいものに変わりつつある。