ビジネス

交通系ICカードが主流の日本の鉄道乗車券 地方鉄道からすすむクレジットカードのタッチ払い

2006年にモバイルSuicaサービスが開始、利用者がさらに拡大した(dpa/時事通信フォト)

2006年にモバイルSuicaサービスが開始、利用者がさらに拡大した(dpa/時事通信フォト)

 電子マネーやクレジットカードが普及したことにより、現金を持たずに外出するのも珍しくなくなった。一方で、旅行などで地方へ足を運ぶと、公共交通機関も含めて現金がないと途端に身動きがとれなくなることがある。交通系ICカードの利用範囲が拡大する一方で、導入に二の足を踏んできた地方鉄道がいま注目するのは、クレジットカードやデビットカードのタッチ決済導入だ。ライターの小川裕夫氏が、センターサーバー方式の非接触型ICカード決済と、じわじわ拡大するオープンループと呼ばれる運賃支払い方式についてレポートする。

 * * *
 JR東日本のソニーの非接触型ICカード技術を用いた乗車カード・電子マネーのSuicaは2023年3月に発行枚数が2000万枚を突破。首都圏では外出時に財布がなくとも買い物など生活に困らないと言われるほど普及している。そのSuicaを使える改札機が、2023年5月27日、青森・盛岡・秋田の3エリアに初めて導入された。東京近郊区間の駅で2001年11月18日にサービスが開始されてから20年以上経過した今回、導入された改札機は、初期のものとは大きく異なる方式で稼働している。

「北東北の3エリアでは、Suicaを使った出改札サービスの開始に伴い新型改札機を整備することになりました。そのため、サービス開始日よりセンターサーバー方式を導入することといたしました」と説明するのは、JR東日本広報部の担当者だ。

運賃改定に強いセンターサーバー方式の新型改札機

 青森・盛岡・秋田の3エリアに設置された新型改札機は、それまでの改札機と見た目を比べてもさほど変わっているように感じない。

「これまでの改札機は後から処理能力を増強することは難しいのですが、センターサーバー方式では、サーバーの能力や台数を変更することで処理能力を向上することが可能です」(同)

 なによりセンターサーバー方式が威力を発揮するのは、新サービスの展開時だとJR東日本広報部は強調する。運賃の改定や新路線・新駅の開業により運賃の変更が起きた際、これまでは改札機1台ずつ改修作業をする必要があった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト