BBCが告発した中国サイト。動画内容の一部は番組内でも取り上げられた
30秒の動画が5万円で
BBCが告発した闇サイト運営のメインプレーヤーは中国人で、顧客も中国人が中心のようだ。一方で記事では、電車内を模した部屋で痴漢体験を楽しめる日本のイメクラ店にも取材がなされ、痴漢が“日本の文化”であるかのように印象づけられている。
セクハラや性暴力の告発運動を行なっている「#WeToo Japan」による2019年のアンケート調査によれば、痴漢の被害にあった時に「駅員や警察へ通報した」と答えた割合は1割以下で、多くが「我慢する」「逃げる」という対処をしていたという。9割が泣き寝入りで、痴漢はほぼ野放しなのが現実だ。
では、実際に痴漢の動画はどのように撮影されるのか。BBCが取材したサイトとは別の投稿サイトで痴漢動画を販売したことがあるという50代の日本人男性に話を聞いた。
「私は満員電車だけでなく、始発や終電で泥酔して眠っている女性も狙っていた。全身を映した後に顔、胸元、股間、女性が気づかなそうならブラの中まで、小型カメラで撮影していました。よく利用したのが山手線。駅間が短く、バレた時に逃げやすいからです。私は30秒ほどの動画をサイト運営者に5万円で売ったことがあります。今は多くの電車内に防犯カメラが設置されているので、盗撮のリスクは上がっています」
別の痴漢グループに属していたという日本人男性(50代)にも話を聞いた。痴漢で二度の逮捕歴があり、今は「足を洗っている」と言う。
「歩いている時に目線がうつむき加減の子を狙っていた。手の甲に触れて、相手の反応を見て、お尻などを触わったり股間を押し当てたり。成果をアピールするために動画を撮ってサイト上に投稿することもありました。そういう時は3人くらいのグループで電車に乗り、見張りや撮影者などの担当を割り振って撮っていました」
今回取材した痴漢常習者はみな、被害女性たちが負う精神的な傷については一切言及しなかった。こうした人々が日本社会に存在しているというのも認めざるを得ない事実である。