イギリス政府が渡航者に警告する日本の「通勤列車」

 こうした日本の恥部に世界が目を向けている。

 BBCの記事によれば、〈(痴漢は)あまりにあちこちで起きる犯罪なので、イギリス政府は日本への渡航者に対して、「通勤列車で女性客が不適切に触られるという報告は頻繁にある」と警告している〉とある。カナダ政府も同様の警告を出しているという。

 前出・ブレア氏は実際に、日本国内で痴漢の被害に遭う女性を目の当たりにしたことがあるという。

「都内の満員電車で、男性が明らかに身体を女性に押しつけていて、女性はうつむいて我慢をしている様子でした。これは絶対に変だと思って、私は服の襟を掴んで『痴漢野郎』と言い、次の駅でホームに放り出した。被害女性の『周りに知られてしまうのが恥ずかしい』という恐怖に、痴漢犯罪者はつけ込んでいるのかもしれない」

 海外の報道に詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう語る。

「日本の痴漢に関しては、5年ほど前にもドイツの公共放送で『グローピング』(英語で痴漢の意)と題した特集が組まれましたが、いまやそのまま『CHIKAN』で国際的に通じるようになってしまっている。

 日本は治安が良くて住みやすい国だと思われているので、痴漢という性犯罪が頻繁に起きていると聞くと、そのギャップに驚くのです」

 我々日本人は、痴漢という性犯罪を軽く見過ぎてきたのかもしれない。

 日本では、昔のポルノ映画から現代のAVまで、“痴漢モノ”と呼ばれるジャンルの作品が数多く作られてきた。『ルポ性暴力』の著者でノンフィクションライターの諸岡宏樹氏が語る。

「制作側は痴漢モノが顧客の欲求を発散させ、性犯罪の抑止に役立っているとしてきましたが、実際はそうではない。警察庁科学警察研究所が1997年から1998年に強姦や強制わいせつで逮捕された553人に行なった調査では、33.5%が『AVを見て自分も同じことをしてみたかった』と回答していて、少年に限ってはその数字は5割近くに跳ね上がっていた」

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