ライフ

「睡眠薬」規定量以上を長期服用で依存が発生 のみすぎによって認知機能が落ちる高齢者も

布団に入って即寝てしまう人は過度な睡眠不足による「気絶」に近い(写真/PIXTA)

長期服用で依存に(写真/PIXTA)

 年を重ねるほどに睡眠が浅くなり、朝までぐっすり眠るために薬の力を頼ろうとする人も多いが、銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんは睡眠薬は「麻薬」と一緒だと警鐘を鳴らす。

「睡眠薬の多くは向精神薬で、『麻薬及び向精神薬取締法』という法律で、麻薬と同様に取り扱いが規制されています。つまり規定量以上を長期にわたってのみ続ければ、麻薬と同様に精神的な依存が発生するということ。脳幹の延髄を抑制して、自律神経にも作用するので、乱用すれば呼吸が止まって亡くなることもあります」(長澤さん)

 特に危険なのは、リラックス効果のある神経伝達物質「GABA」の脳内分泌を促し、入眠に導入するベンゾジアゼピン系の睡眠薬だ。ナビタスクリニック川崎・内科医の谷本哲也さんが言う。

「本当に眠れないときだけの頓服薬として使う程度が無難です。長くのみ続けると、脳内でGABAが分泌されている状態が恒常化し、薬がないと焦燥感に駆られて、精神的につらくなる薬物依存が起こり得ます。また、心を落ち着けて眠りを誘う薬でもあるため、服用中は頭がぼんやりして転倒リスクも生じます」

 eクリニック医師の岡本裕さんは日々、診療現場でそのリスクを目の当たりにしていると話す。

「睡眠薬ののみすぎによって認知機能が落ちてしまっている高齢者は多いのですが、その様子を見た家族は『認知症になってしまった』と言って治療を受けようとして病院にやって来る。しかし実際には睡眠薬によって慢性的に意識が混濁している状態で、薬を減らしたりやめたりすることで元に戻ることがほとんどです。

 ただ、その依存性ゆえにうまく断薬できずに患者自ら別の病院に行って薬をもらおうとするケースもある。そうなると断薬はできず、そのまま寝たきりになる人もいる。安易な服用がどれだけ危険であるか見て取れる事例といっていい」(岡本さん)

※女性セブン2023年7月27日号

気をつけるべき睡眠薬

気をつけるべき睡眠薬

負のサイクルに…

負のサイクルに…

関連キーワード

関連記事

トピックス

国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
普通のおじさんがSNSでなりすまされた(写真提供/イメージマート)
《50代男性が告白「まさか自分が…」》なりすまし被害が一般人にも拡大 生成AIを活用した偽アカウントから投資や儲け話の勧誘…被害に遭わないためには?
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン